重圧を背負って戦っていく。昨年末に阪神入りを決断した福留孝介外野手(35)が5日、大阪市内のホテルで推定年俸1億5000万円プラス出来高の3年契約を交わし、入団会見を行った。背番号は8。約200人の報道陣を前に「すごく熱心に誘っていただいて、我慢強く待っていただいた。優勝するために自分ができることをやっていきたい」と、晴れやかな笑顔だった。

 昨年12月24日、オファーを受けたDeNAなどの中から、悩みに悩んだ末に阪神入りを決断した。中日時代、右翼守備の際には背中から大ブーイングが飛んできた。空揚げの骨を投げつけられたこともあった。当時は敵ながら、阪神ファンの熱さ、愛情の深さ、厳しさを肌で感じていた。これからはそれが自分に向けられる。ファンへのメッセージをリクエストされると「(成績が)良ければ、温かいご声援を、悪ければ叱咤(しった)していただきたい。ダメな時はダメと言ってもらった方が選手として成長できる」と話した。

 阪神ファンの熱心さは有名だが、目上の人間に対してもはっきりと自分の意見を言う男は、己の評価に対しても「灰色」を嫌う。PL学園の主砲として甲子園を沸かせ、社会人野球では日本生命にも所属していたこともあり、関西人気質も十分に理解している。

 球団からは若手への手本としての役割も期待されているが、「聞きたいという選手がいれば、話をしたいと思います。西岡選手もいますし。逆に僕は(日本に)5年間いなかったわけですから、教えてもらわないといけないこともある」。

 過去の実績は捨て去り、一から日本野球に向かい合う。あらゆることに腹を決めた言葉は終始、よどみなかった。【鈴木忠平】