巨人に96年から02年まで在籍した元投手、韓国の趙成■(チョ・ソンミン)氏(39)が6日早朝、ソウル市内のマンションの浴室で首をつって死亡しているのを交際女性が発見し警察に通報した。警察は自殺とみている。韓国メディアが一斉に報じた。同氏は昨年11月まで韓国プロ野球・斗山の2軍ブルペンコーチを務めていた。現役時代は剛腕から「コリアンエクスプレス」と呼ばれたが、早すぎる最期だった。

 39歳の早すぎる訃報だった。趙成■氏は6日早朝、ソウル市内のマンションの浴室で、シャワーにベルトを引っ掛け、首をつっていた。交際女性が発見し警察に通報したが、すでに息を引き取っていたという。

 警察と関係者、地元メディアによると、同氏は5日夜にこの40歳の交際女性宅で、女性から別れ話を切り出されたという。女性が深夜0時ごろ外出し、約3時間半後に戻ってきたところ、すでに死亡していた。同氏は女性に「これまでありがとう。私がいなくても強く生きていって」とのメールを送っていた。母親の携帯電話にも「韓国では生きていけない。息子はいなかったと思ってほしい」という内容のメッセージを送っていた。親族はうつ病の疑いなどを否定。今日7日に検視、11日に葬儀が行われる予定となっている。

 波乱の人生だった。194センチの長身から投げ下ろす150キロ直球が魅力で、96年巨人に入団。98年には開幕ローテーション入りを果たし、前半だけで7勝を挙げた。だが同年7月、球宴第2戦(千葉マリン)登板で「右前腕部痛」を訴え、長期離脱。それ以前から右ひじや右肩に痛みを抱えており、現役引退後「あれが転機だった」と振り返っている。

 その後、万全な状態に戻ることはなく02年に巨人を退団。実業家生活を送っていた05年、WBC韓国代表監督も務めた金寅植(キム・インシク)氏が指揮するハンファに入団。3年間プレーし、現役を引退した。

 プライベートでも紆余(うよ)曲折があった。00年に韓国のトップ女優崔真実(チェ・ジンシル)さんと結婚。高校時代からファンだった趙氏が、出会ったその日にカラオケに出掛けて交際スタート。結婚式はソウル市内のホテルで1600人を招待した豪華なものだった。だが04年8月には2人の子どもの養育問題をめぐって夫人と口論となり、その場に居合わせた夫人の親類女性に暴行を加え、現行犯逮捕されるなどトラブルを起こした。同年9月、協議離婚が成立。

 その元夫人が08年10月2日未明、ソウル市内の自宅でネットによる誹謗(ひぼう)中傷を苦に自殺していたのが見つかった。その2年後、2人の子どもたちが父親のように慕っていた元夫人の実弟も自殺した。

 不運続きだったが、11年に韓国プロ野球・斗山で2軍リハビリコーチに就任。指導者として再出発していた。球団首脳陣と日本人関係者とのパイプ役も務め、通訳に「こう表現した方がいい」などと助言することもあったという。昨季は2軍ブルペンコーチに。今年も契約延長とみられていたが、オフに退任した。地元メディアによるとコーチ職を失いを悩んでいたという。昨年11月にはソウル市内の飲食店で知人と暴力沙汰のトラブルを起こすなど不安定だったようだ。

 ◆趙成■(チョ・ソンミン)1973年4月5日、韓国生まれ。信一高卒。高麗大時代はユニバーシアード、アジア選手権(兼五輪予選)などで韓国代表。96年に契約金1億5000万円、変動制の年俸1200万円の8年契約で巨人入団。97年に11セーブを挙げ、98年に球宴出場を果たすも、右肘故障で7年目の02年に自ら申し入れ退団。05年に韓国・ハンファに入団。07年までの3シーズンに3勝4敗で引退。11、12年は斗山コーチ。現役時代は194センチ、95キロ。右投げ右打ち。※■は王へんに民