満点仕上げでキャンプ突入だ!

 日本ハムのドラフト1位、大谷翔平投手(18=花巻東)が29日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で行われた新人合同自主トレを打ち上げた。2月1日のキャンプインに向けた約3週間の“助走期間”を振り返って「100点だと思います」と珍しく自画自賛で即答。3度目となったブルペンでは、初めて捕手に座ってもらい16球を投げた。投打の二刀流挑戦が本格化する沖縄・国頭村での2軍キャンプに自信を持って向かう。

 迷いは、完璧に消えた。新人合同自主トレ最終日。大谷が約3週間の全メニューを無事に終え、確信した。抜けるような青空の下で、最高の自己採点が飛び出した。「100点だと思います」。謙虚で慎重な発言が多いクレバーな18歳が、堂々の満点宣言だ。「キャンプに、いい状態で臨めそうです」。二刀流への挑戦が本格化する春季キャンプへ向け手応え十分。さわやかスマイルがはじけた。

 満点にふさわしい、打ち上げになった。3度目のブルペン入りしたこの日は、初めて捕手を座らせての本格投球を披露。立ち投げで30球を投げた後に、「投手・大谷」がベールを脱いだ。気迫あふれる表情で16球の投げ込み。直球とカーブにスライダーのほか、昨夏からレパートリーに加えたカットボールも2球試す余裕も見せた。大谷は「楽しかったです」と心躍る、キャンプへの試運転だった。

 二刀流への本格挑戦の助走期間。本格投球は、入寮前の1月上旬に花巻東で投げて以来だった。「低めに、しっかり投げられるか不安もあった。(キャンプへ)行く前に確かめたかった」。本人はまだ手探り段階でも、周囲の評価が順調さを裏付ける。受けた4年目捕手の荒張は「座ってからの低めのボールの方が、すごかった。140キロ後半は出ていた」と証言するほど、仕上がった。

 新人自主トレ中は同期入団の7選手の中でただ1人、特別メニューを消化した。フリー打撃をして、ブルペンにも入り、野手の守備練習に参加した。トレーナー陣が試行錯誤しながら組んだ投手と打者の垣根を極力排除した、高難度のトレーニングメニューに取り組んだ。「高校時代はやってないメニューもあって筋肉痛にもなりましたけど、ケガがなかったので」。やりきった実感を得たからこそ、自分自身に満点を与えられるまでになった。

 青写真も変わる。球団は投手と打者を兼務する負担、また注目を浴びる精神的な疲労を考慮し、緩やかに船出させるプランの修正に入った。栗山監督は「(想定以上に)体を追い込める状況になった。自分の頭の中で考え直さなくてはいけない」と、当初より前倒しで育成を進める可能性を示唆した。大谷も「しっかりケガなく、先輩のプレーを見ながら学べれば。1段階上に、自分のレベルを上げたい」と力強く結んだ。また100点を付けられるルーキーイヤーへの試金石になる、キャンプへ盤石で突入する。【木下大輔】