日本ハムのドラフト1位大谷翔平投手(18=花巻東)が「対応力」の高さで相手バッテリーを幻惑した。26日、広島との練習試合(名護)に「3番右翼」でフル出場。5回に右前へ対外試合初安打を放った。直前に空振りした変化球と同じボールにバットを合わせ、難なく一、二塁間へ転がすなどルーキー離れした打撃力をあらためて示した。今日27日には、1軍合流後初めてフリー打撃に登板予定で、今度は投手としてアピールする。

 キャンプ地・沖縄での最後の実戦で、大谷が「H」ランプを点灯させた。5回1死一塁、広島中崎の129キロスライダーを右前に転がし、対外試合初安打を放った。「打ち損じた球もあったけど、2ストライクから低めのスライダーを打てて良かったです」とうなずいた。これまで紅白戦とオープン戦の3試合では代打からの出場だった。初スタメンで、1軍生き残りをかけた広島の4投手と対戦し、4打数1安打。

 広島バッテリーを幻惑させるほどの、対応力の高さを見せた。大谷が「打ち損じた」と話したのは、球速も球種も同じ、1球前の129キロスライダーだった。安打したボールよりもわずかに内寄りだったが、バットは豪快に空を切った。これを見た広島バッテリーからは、スライダーを連投されたが、大谷の体は自然と反応した。

 打席ではストレートのタイミングで待つタイプだ。スライダーを狙ったわけではなかったが、「1球見ていたので」と涼しい顔で振り返った。わずか1球で見事に対応した技術は非凡なもの。広島磯村は「タイミングが取れているのか、いないのかわからない。いい打者は突然バットが出てくるけど、そんな雰囲気がある」と驚いた。

 対応力は打席の外にもあった。新人合同自主トレ終盤にバットをモデルチェンジしたが、この日の相棒は、それ以前に使用していた旧型のもの。重さは910グラム前後と大差ないが、先端ではなく手元の方にポイントがあるため扱いやすい。実際にプロの投手と対戦を重ねていく中で、「思っていたよりも差し込まれている」と自己分析して戻したという。

 右翼の守備では、風が強かったこともあり、初めてサングラスを着用。守備機会は1度しかなかったが「リラックスして守れたし、楽しかった。連係を取りながらできました」と守備位置の確認なども入念に行った。

 27日は1軍キャンプ合流後初めてとなる、フリー打撃の登板が予定されている。栗山監督は「体が張った状態でどうなるのか見たい」。今度は二刀流への「対応力」が試される。【本間翼】