ここでも侍の悲劇…。右肩痛で2軍調整中の中日浅尾拓也投手(28)が3月29日開幕戦に間に合わないことが確実になった。今中投手コーチが開幕1軍構想から外すことを明かした。故障でWBC日本代表から落選して以降、滑り込みの開幕1軍を目指したが実戦復帰のメドすら立たず、長期離脱の可能性もある。

 浅尾の顔はどこか元気がなかった。「一進一退という感じです…。今はコーチからの指示を受けてやっています」。ナゴヤ球場で行ったキャッチボールの距離は塁間とほぼ同じ約30メートル。侍の守護神候補と言われた男が、全力で腕を振りたい気持ちを抑え込み、我慢の練習を続けている。

 アクシデントは15日に起きた。故障でWBC日本代表から落選して以降、初めて打撃投手を務めた。開始から数分後に練習ストップ。右肩の違和感を感じた浅尾が自ら中断した。

 16日に急きょ、トレーナーが手配して名古屋市内の病院で検査を受けた。検査結果に問題はなかったものの、調整は一気にペースダウン。持ち上がっていた実戦プランも立ち消えとなった。

 報告を受けた今中投手コーチは「今回は自分で立ち止まった。そこが成長したところ」と前向きに話すも、今後については「メドは立たん」と厳しい口調。高木監督は前日17日に「よくない。(今回は)自分から言ってきたんでしょ」と話しており、首脳陣は開幕浅尾不在を決断。腹はくくっているようだ。

 浅尾の穴については今中コーチは「9回は岩瀬、タク(浅尾)のところは田島、山井、聡文(高橋)らに頑張ってもらう」とリリーフ総動員で埋める考えだ。災い続きの守道竜。大きな武器を失って開幕を迎えることになってしまった。【桝井聡】

 ◆浅尾の経過

 2月沖縄キャンプで右肩張りを発症し、WBC日本代表は合宿の実戦で1球も投げずに落選。2月25日に名古屋市内の病院で精密検査を受け「右肩関節腱板(けんばん)損傷」と診断された。5日にナゴヤ球場室内のブルペンで投球練習を再開し、9日に捕手を座らせた。順調にステップアップしたが、15日の打撃投手は自ら切り上げた。