<巨人1-1広島>◇30日◇東京ドーム

 威風堂々-。巨人ドラフト1位菅野智之投手(23=東海大)が30日、広島との開幕カード第2戦でプロデビューした。先発を任され7回を投げ5安打1失点の好投を披露した。11年のドラフトで日本ハムからの指名を拒否し、在籍していた東海大での1年間の浪人生活を決断して、迎えた晴れ舞台。菅野が憧れだった巨人の一員として、しっかりとスタートを切った。

 ニヤリと笑った。記念すべきプロ初球。菅野は146キロ直球を投げ込んだ。「逆球になってしまったので思わず顔に出てしまいました」と、東京ドームのど真ん中で白い歯がこぼれた。先頭打者安部から空振りを奪ったこん身の1球。堂々と第1歩を踏み出した。

 思いを込めた決意の103球だった。「僕は一喜一憂しないと決めたんです」。開幕を1週間後に控えたジャイアンツ球場で明かした。それは23歳のルーキーが持つ哲学でもある。「もし1回、うまくいって自信が持てるんだったら逆に1回、失敗したら自信を失うことになる。今まで積み上げてきたものはそんなに簡単なものじゃないと思う」と、熱っぽく語った。

 この日のマウンドでも同じだった。7イニング中4イニングで安打を許した。走者を背負っても落胆する姿はない。セットポジションになっても冷静沈着そのもの。「もっと緊張してガチガチになると思っていたけど、不思議と、いつも通りの気持ち、体の状態で投げられました」と、地道に積み上げてきた力を糧にして、最少失点でしのいだ。

 ようやくたどり着いたスタート地点。11年のドラフトで日本ハムからの指名を拒否し、1年間の浪人生活を送った。「小さいときからジャイアンツのユニホームを着てプレーしたいという憧れを持っていた」。原家のDNAを持つ野球少年にとってはプロ野球選手=ジャイアンツだった。だから、決断に迷いはなく菅野本人は「ようやく」とは思っていない。むしろ「こんなに順調になれるとは思っていなかった」と、プロ野球選手になれたことがうれしかった。その思いは、対外試合すらできない浪人生活の不安や周囲の同情、雑音をかき消すには十分だった。

 打線の援護に恵まれず初勝利は中6日で迎える6日の中日戦以降に持ち越された。記録としては決して華々しいデビューではなかったのかもしれない。でも、東京ドームの大歓声が証明した。「初登板は人生に1回しかない。本当に楽しかった。あらためて巨人にジャイアンツに入れて良かったなと思いました」。菅野が、しるした第1歩は鮮明な記憶として残るはずだ。【為田聡史】

 ▼ルーキー菅野が開幕2戦目で先発。2リーグ制後、開幕カードに先発した巨人の新人は59年伊藤(開幕戦=勝敗なし)60年堀本(2戦目=○)同年青木(3戦目=○)62年城之内(開幕戦=●)同年柴田(2戦目=●)99年上原(3戦目=●)03年木佐貫(3戦目=●)に次いで8人目。開幕2戦目までに先発は62年の城之内と柴田以来、51年ぶりだ。菅野は7回1失点の9奪三振。デビュー戦で2ケタ奪三振を記録した新人は93年伊藤(ヤクルト)が最後で、巨人では過去にいない。菅野が惜しくも球団初の快挙を逃した。