<ヤクルト2-0阪神>◇3月31日◇神宮

 いつもより5分早く、ヤクルトの試合前のミーティングが始まった。その理由は「藤浪攻略」。スコアラー陣が集めた情報では、大きく「直球とスライダーの組み立て」と「セットポジションに隙がある」の2点がポイントに挙がっていた。その下地には、(1)雄平の抜てき(2)高校野球戦法(3)八木の先発という3つの策が講じられた。

 今季未出場の雄平外野手(28)の抜てきは、開幕前から決まっていた。左打ちの右翼手なら開幕スタメンで直球に強い松井淳外野手(25)がいる。だが速球の制球に不安ありとにらみ、小川淳司監督(55)は「スライダーを打つなら雄平」と指名。6回、雄平はフォークを本塁打にしてとどめを刺した。

 フォークを甘くさせたのが「高校野球戦法」だった。映像を見ながら「塁に出るとチャンスはある」(佐藤作戦兼打撃コーチ)と確認した。だからこそ、初回から一塁走者の田中浩が「大げさだったかな」と苦笑するほど大きなリードを取った。「工夫しないとというのはチームでもあった」。盗塁やバントの構えなどで揺さぶり続けた。開幕前、藤浪に「極端に言えば高校野球チック」と評された攻め方で追い詰めた。

 接戦に持ち込むべく、投手も「格より調子」で選んだ。当初予定は昨季阪神戦2勝のロマンだったが、WBC後に調子が上がらないとみるや、阪神に2月24日に1回7失点KOを食らいつつ上向きの八木に決断。立ち上がりは不安だったが「誰もオレを見ていない」と開き直り、カーブ主体に7回無失点で投げ勝った。

 試合前、小川監督は「抑えられた方が『ヤクルトは大丈夫』と思うから、逆に(油断して)いいかも」と笑った。だが本音は「最初が肝心」。策を巡らし、昨秋ドラフトで1位指名した注目新人に嫌なイメージを植え付けた。【浜本卓也】