<中日8-3DeNA>◇3月31日◇ナゴヤドーム

 中日谷繁元信捕手(42)が逆転打を含む2安打3打点と活躍し、チームに今季勝利をもたらせた。DeNAに連敗で迎えた3戦目、負ければ80年以来33年ぶりの開幕3連敗という危機をベテランが食い止めた。2000安打までこれであと26本。赤いユニホームを着る「燃竜(もえドラ)」企画の特別デーに、25年目のベテランが若々しく輝いた。

 燃えていた。そっぽを向いていた勝利の女神を振り向かせたのは谷繁だった。0-1の2回1死満塁。1ボール2ストライクから4球目外角スライダーに崩れながらも食らいつく。打球はレフト前に弾んだ。5回には左前適時打で追加点を挙げるなど、チームを13安打8得点の大勝に導いた。

 地元で3連敗だけは阻止したい。2回の打席は気持ちが違った。「絶対に勝ちたいと思っていた。追い込まれても食らいついていこうと」。谷底に突入しそうなチームを救い上げ、お立ち台では「ボクもビックリしてますけど、見に来たみなさんもビックリしてるでしょ」と豪快に笑った。

 快音が鳴りやまない。開幕から3試合連続安打で8打数5安打。打率6割2分5厘は、始まったばかりとはいえセ・リーグの首位。そんな問いかけに谷繁は噴き出した。

 「何言ってんの!

 まだ3試合でしょ。ホントに谷繁、首位打者って新聞に書いてよ!

 記念に取っておくから」

 生まれて初めて袖を通した真っ赤なユニホームには「結構、似合ってるでしょ?」とニンマリ。「昔、オールスターでカープの帽子借りてかぶったときは似合ってなかったけど」と爆笑した。

 ハイペースのヒット量産で今シーズン達成確実な2000安打まで、あと26本になった。だが、今は前も後ろも見ない。今年1月に横浜で自主トレ中に話したことがある。「今かな。今、何ができるか。今、何をしないといけないか」。『今年の1字』を問われた谷繁のアンサーだ。目の前の試合に全力を注ぐ-。カウントダウンの音が聞こえてきてもスタンスは変わらない。

 高木監督も全幅の信頼を寄せる。「大きな目標があって捕手も2人しかいない。頑張らないといけないという気持ちが結果に出ている」。今季は捕手2人制で開幕をスタート。自然と谷繁への負担も増すが、42歳の働きを期待しての決断だった。谷繁は「みんながここでダメと思ったら流れが悪くなる。とにかく前を向かないといけない」と力強く言い切った。この男がいる限り、今年の竜も簡単には転びそうにない。【桝井聡】

 ◆燃竜(もえドラ)

 赤い上着のユニホームは36年(昭11)に発足した名古屋軍時代を含めても初。高木監督は一昨年の就任時「帽子、ユニホーム、スパイクに必ず赤を入れろ。赤は闘志の色」と一新を指令。帽子のマーク、胸の数字、スパイクのラインに赤が入った。アクセントでは足らず、今年は上着全部を赤にするサードユニホームが誕生。今季ナゴヤドームで戦う7試合に着用する。