<西武4-1ソフトバンク>◇2日◇西武ドーム

 WBC日本代表の西武牧田和久投手(28)が、9回途中1失点の好投で今季初勝利を挙げた。侍ジャパンでは不動の守護神を務め、2月中旬の代表合宿合流後は紅白戦の2イニングが最長。スタミナや調整面を不安視されたが、みじんも感じさせなかった。切り替えの早さと独特の思考法が好投を導いた。

 日本に帰国する日、サンフランシスコの宿舎ホテルのロビーに現れた姿は、心身ともにボロボロの状態だった。

 牧田

 一気に疲れがきちゃって…。からっぽになったというか、何というか。燃え尽き症候群ってやつですかね?

 ポーカーフェースを貫き、ひょうひょうと投げる。いつも冷静な男の言動に感情の起伏が表れた。WBCの重圧は、ポリシーをも変えるのか。

 開幕を前にした練習日、気持ちの変化を直撃すると、笑顔で返した。「そんなこと言ってましたっけ?

 忘れちゃって。アメリカでのことはアメリカで終わり。初登板?

 いつも通りです。最後は開き直るしかないんで」。あっけらかんと話す姿は、いつもの牧田だった。

 オンリーワンの思考法が根底にある。静岡・静清工高時代、高2秋でエースナンバーを勝ち取った。普通なら、大喜びする瞬間だが、違った。

 牧田

 1番になりたいとか、1番じゃなきゃダメだとか、思ったことがないんです。誰かと比べるんじゃなくて、自分は自分のできることを。思い込みすぎたら、変に力が入るんで。

 この日の登板後、語気を強めたのはWBCでの経験だった。「今日は全く緊張しなかったです。WBCですごい打者と、すごく緊張する場面で投げることができた。それに比べたら、怖いものはないんじゃないかと」。タフなのか、鈍感なのか。侍ジャパンでも屈指の心の強さは、健在だった。【久保賢吾】