<広島3-5ヤクルト>◇2日◇マツダスタジアム

 4回以外は、常に走者を背負った。何度もピンチを迎えた。それでもヤクルト村中恭兵投手(25)は動じなかった。「何とか追いつかれないように」。その一心でマウンドに立ち続けた。8回1死満塁で山本哲に託したが、そこまでは10安打を浴びながらも本塁生還は許さなかった。「気持ちで投げた」と話す左腕に、小川淳司監督(55)も「引っ張りすぎたかなと思ったけど粘り強く投げてくれた。走者を出しても崩れない。成長しているね」とほおを緩めた。

 村中だからこそ、雨にも負けなかった。広島地方は朝から雨。午後3時前、球場に到着したナインは不安げに空を見つめた。中止になるかどうかで、調整は変わってくる。だが、そわそわすることはなかった。「試合中に降らないでくれとは思ってましたけど、気にせずに、はい」。

 験かつぎやルーティーンなどの「マイルール」を持つ選手は多い。だが「束縛されたくないんです、ルーティーンに。やることはしっかりやるけど決まりはないですね」。今季初登板を前に「緊張していた」うえ、試合前練習では雨のため、通常通りには屋外を使えなかった。それでも動揺せずに「天気予報を見たら6時から降らなかったので」と、与えられた場所で淡々と備えた。そして、雨はやんだ。状況に左右されずに調整した結果が、敵地での粘りの投球を生んでいた。

 チームは9回に3点を奪われ、3試合連続完封はならなかった。それでも3連勝。「流れは止めたくないと思っていたので良かった」とホッとしたのも一瞬だった。「テンポが悪かったので攻撃にリズムを伝えられなかった。結果は0点で良かったけど次につなげていきたい」と引き締めた。今季から投手主将に就任。小川監督が挙げた12年ぶり優勝へのキーマンは、粘り強く、堂々と今季初白星を手にした。【浜本卓也】