<広島3-5ヤクルト>◇2日◇マツダスタジアム
見たか、後輩!
広島大竹寛投手(29)が、2年連続の本拠地開幕投手を勤め上げた。ヤクルト戦で7回6安打1失点。断続的に雨が降る悪条件の中、直球は最速145キロをマークする力投を見せた。打線の援護が無くチームの今季初勝利は逃したが、今日3日、センバツ決勝に臨む浦和学院ナインにマウンド上から“エール”を送った。
大竹は「浦学魂」を胸に秘めていた。2年連続の本拠地開幕戦。連敗で迎えるマウンドは、昨年と同じ状況だった。プレッシャーが押し寄せる中、朗報が届いた。試合前に行われたセンバツ準決勝で、母校浦和学院が初の決勝進出を決めた。「母校に負けないように頑張りたい」と、甲子園で躍進を続ける後輩との共闘を誓っていた。
雨が降りしきる悪条件の中でのプレーボール。体感温度は下がり、肩が温まる前に、わずか6球で1点を失った。だが、「雨を気にしても仕方がない。今日のできることはやれた」と今季初登板を振り返った。
今の大竹の礎は高校時代に築かれた。当時を振り返るとき「もう、戻りたくない」と、必ずしも笑顔はない。在学中は2年夏に1度だけ甲子園に出場したが、登板機会はなかった。
中学時代、学業優秀だった大竹は進学校か、野球の強豪校に進学するか悩んでいた。決め手は森士(おさむ)監督(48)からかけられた「君はプロ野球選手になれる」という言葉だった。だが、想像以上だった練習の厳しさに、肉体だけでなく、精神的にも追い詰められた。弟から「浦学に進学したい」と相談されたときに、同じ思いをさせたくないと、取っ組み合いのケンカになったほどだったという。
忘れられない3年間を乗り越えたからこそ、森監督との約束は果たされた。昨年12月に行われた結婚式では、恩師が祝辞を述べた。「背番号以上勝てると確信している」。才能にほれ込んだ男らしい、最多勝の可能性を秘めたシーズン17勝を促す“祝福の言葉”だった。
惜しくも、その1歩は踏み出せなかった。9回に広瀬が意地の3ランを放ったが、猛追及ばず12球団最後の今季初勝利はまたお預けになった。ただ、大竹の投球は晴れ舞台に立つ後輩に十分胸を張れるものだった。【鎌田真一郎】



