<阪神3-5中日>◇3日◇京セラドーム大阪

 こぼれ落ちた白球とともに勝負の流れも暗転した。阪神7回の守備。無死一、二塁で谷繁へのカウントは1ボール。ここで相手は走者を走らせてきた。打球は三塁へのライナー。三重殺か-。だれもが、そう思った瞬間、ブルックス・コンラッド内野手(33)のグラブに入りかけた白球が落ちた。

 「トリプルプレーのチャンスだった。自分としては捕って、握り変える時に落としたと思ったけど、審判の判定が覆らないことも知っている」

 塁審に抗議したが、後の祭り。捕球すれば最低でも2アウトの状況が、一転して無死満塁。何とか松井佑の犠飛のみに抑えたが、痛すぎる3点目を失った。

 痛恨プレーは、5回にもあった。1-1同点に追いつかれ、なお、2死二塁の場面。代打中田亮の三塁へのゴロを一塁へ悪送球してしまった。勝ち越しの二塁走者が生還。直前で打球がイレギュラーして捕球体勢は崩れていたが、コンラッドは「あれは捕球していたわけだから自分のミス。言い訳はできない」と責任を背負った。

 コンラッドを三塁で起用する上で首脳陣は守備のリスクは覚悟していたはず。その分、パワーと確実性を備えた打力にかけた。それでも、無駄な失点がなければ…と、思わずにいられない敗戦だった。【鈴木忠平】