<楽天17-5ロッテ>◇5日◇Kスタ宮城

 歴史的な1発がついに出た。楽天嶋基宏捕手(28)が、ロッテ戦の5回、試合を決定づける3ランを放った。2死二、三塁から中郷の直球をとらえた打球は新設された左翼席に飛び込んだ。今季から左中間、右中間フェンスを最大で2・6メートル前方へ設置。旧フェンスとの間のスペースが「Eウィング」と名付けられており、嶋の本塁打が記念すべき「Eウィング第1号」となった。チームは今季最多18安打17得点で大勝した。

 やっと出た~。5回、嶋がロッテ2番手の中郷を鋭い目線でジーッと見る。「いい集中力で打席に入れました」。6球目、内角高めの直球を完璧にとらえた。打球は高い放物線を描き、「Eウィング」に入った。新設された左翼席に飛び込んだ第1号。ファンを喜ばせた1発にも「喜んでくれたというより、びっくりしてると思いますよ」と、自虐交じりに振り返った。

 予想的中?

 の第1号だった。この日で本拠地3試合目。いつ出るか出るかとファンも、球団職員も期待は膨らむ一方だった。そんな中、星野監督は言っていた。「Eウィングには、え?

 こいつが?

 っていうようなやつが打ったりするんだよ」。4番ジョーンズでも、昨季チームトップの本塁打を放った牧田でもなく、8番嶋だった。昨年は1本塁打。右方向へつなぐ打撃が売りの男が、歴史を刻んだ。

 待ち望んでいたかのように、球団も反応した。数分後、打球が落ちた地点に、記念プレートを埋め込むことを発表。また、同じデザインのプレートを嶋の直筆サイン入りで販売することも決定した。池田敦司副社長も「良かったですねぇ」とニンマリ。球団職員はプレートを埋め込む施工日時の対応に追われ、急ピッチで作業を進める予定だ。

 嶋の1発だけでなく、牧田の本拠地第1号、新外国人ジョーンズの来日1号も飛び出した。ルーキー則本に大量得点でプロ初勝利をプレゼント。星野監督も「牧田、嶋のホームランが効いた。打つ方は本当に申し分ない」と目を細めた。

 記念プレートが埋められることで、球場には「嶋基宏」の名が永遠に刻まれる。それでも嶋は「ホームランはたまたまです。また明日から謙虚に、基本に忠実に、センター返しを心掛けていきたい」と真剣なまなざしで言った。【斎藤庸裕】