<楽天3-2ロッテ>◇6日◇Kスタ宮城

 楽天が「全員全力野球」で、再び貯金を3とした。星野仙一監督(66)が「ジョーンズが日本に来て、初めて全力で走ったのを見ましたよ」と振り返った場面が、勝ち越し劇の始まりだ。2-2の8回先頭。それまでロッテ渡辺に3打席凡退。この回も三塁へのボテボテのゴロだった。だが全力疾走で内野安打を奪った。続く牧田が2番手南から犠打を決め、代走森山。足のスペシャリストはマギーへの初球暴投で三塁へ。そのマギーが四球を選び、1死一、三塁。お膳立ては整った。

 松井は初球に三遊間の当たり。ロッテ内野陣はバックホーム態勢の前進守備だったが、森山は迷わず本塁へ突っ込んだ。根拠があった。「ギャンブルじゃないです。緩いゴロで三遊間。三塁手が捕っても、体を反転しないとバックホームは無理」。三塁今江がはじく間に、勝ち越しホームを踏んだ。派手な当たりは1本もなし。個々が仕事を果たし、1点をもぎとった。

 ジョーンズとマギーが加わったが、本塁打が星野野球の神髄ではない。打者は走者を進め、走者は1つでも先の塁へ。いやらしさが求められる。仁村チーフコーチは「ミスがでれば選手と話してきた。チームとして(ミスを防ぐプレーが)出来るようになってきた」。この日、精彩を欠いた銀次は4回限りで交代。直後のベンチでは、銀次と話し込む同コーチの姿があった。

 地道な指導が実を結びつつあるが、雰囲気も変わった。開幕2日前に福岡の焼き肉店で行われた決起集会で“事件”は起きた。明大の後輩でもある島内が、ビールを持って星野監督の席に向かった。すると、誰からともなく「明治!!

 明治!!」の大合唱。普段はお酒を口にしない監督も、笑顔で飲んだという。垣根は、確実に低くなった。

 開幕から3カード連続負け越しなし。だが、星野監督は「銀次、(枡田)慎太郎。去年、我慢して使ったヤツが情けない」とピシャリ。勝っても全てには満足しない。貪欲さを求め続けたチームが、一皮むけようとしている。【古川真弥】