お兄ちゃん、出番ですよ~。阪神新井貴浩内野手(36)に「出番」がきた。5日の広島戦で左太もも裏を負傷した新井良太内野手(29)が6日、肉離れと診断を受け出場選手登録を抹消された。4番不在の緊急事態。和田監督は代役4番について「何人もいない」と話し、これまでの実績から新井に白羽の矢が立つ可能性が高い。開幕から代打に甘んじてきた男に、うっぷんを晴らす時がきた。
新井は厳しい表情を崩さなかった。雨天中止決定後、マツダスタジアムで行われた練習中に、新井良が抹消されたという情報が飛び込んできた。弟が離脱によって、兄に出番がやってくる。皮肉な巡り合わせだが、今のチーム状況では、それが現実だ。
「いつもと変わらずに、練習するだけ」
新井はまったく表情を変えずに、こう言った。複雑な胸中がうかがえた。だが、この状況を救うために最も期待されるのは間違いなく新井だろう。和田監督は4番打者について問われると、こう答えた。
「1日、悩みます。そんな何人もおらんし(打順の)並びの問題もあるしね。時間もあるし、一晩、じっくり考えて。(打線は)まだ乗り切れていないからね。何日か続いてたら打線も乗ってくるし、勝ち負けも変わってくる」
3番が左打ちの鳥谷だけに、並びを考えれば右打者がベスト。そうなれば、候補者は新井とマートンだろう。和田監督は「鳥谷4番」というスペシャルプランも構想の中に持っているが、黒田ヘッドコーチはジグザグに左右が並ぶ打線の形について「それは変えん方がええやろな。(新井良も)そんなに長くかからんやろうしな」と話す。他の打順を動かさないと仮定すれば、最も可能性が高いのは新井だろう。
新井は今季、右肩の故障で出遅れた。キャンプ中は背中の痛みも発症。ほとんどリハビリに費やした。開幕も危ぶまれたが、3月に実戦復帰すると、打撃内容で首脳陣を納得させて、開幕1軍入りを果たした。それでも、新井にとっては通過点。開幕から代打で6打数1安打1打点。慣れないベンチスタートからチャンスを待ち、逆襲の思いを胸に秘めて、戦ってきたに違いない。
「(肩に)制限はかかっていません。全く問題ないです。準備していきます」
新井は練習終了後、それだけ言い残して球場を後にした。
前評判の高かった13年虎打線は、ここまで実力を発揮しているとは言い難い。そんな状況で4番が故障離脱。チームのため、自分のために-。出番に飢えた新井はバットに魂を込める。【鈴木忠平】



