<日本ハム3-2ソフトバンク>◇7日◇札幌ドーム
4番の1発が、今季の本拠地初勝利を痛快に演出した。日本ハム中田翔内野手(23)が、0-2の8回1死一、二塁で逆転3ランを中堅左へ運んだ。主砲のフルスイングでチームの連敗は止まり、最下位を脱出した。4日のロッテ戦に続く決勝本塁打に、中田は「嫌な流れを止めるのは4番しかいない」と、お立ち台でドヤ顔だ。
勢いよくバックスクリーン左に飛び込んだ打球が、チームにとって25イニングぶりとなる得点を、スコアボードに刻んだ。8回、敵失と四球で広がった1死一、二塁の大チャンス。中田は「追い込まれたら球に力がある分、不利になってしまう。初球から甘い球、それも速い球を待っていました」。ソフトバンク五十嵐の初球、143キロカットボールを豪快にフルスイングした。
「連敗して嫌な流れだったのでね。嫌な流れを止めるのは4番しかいない。僕しかいないと思った」。4番の心意気で放ったアーチは、チームを単独最下位から救う1発となった。栗山監督は「本当に感動した」と胸いっぱいの表情で、ダイヤモンドを回る背番号6を見つめていた。
1年前、開幕早々、長いスランプに陥り、4番の重圧に負けそうになった姿は、もうない。野手最年少侍として出場したWBCで、初めて世界を体感。共に日の丸を背負って戦った稲葉は「代表選手は、みんな気持ちの切り替えがうまい。(中田)翔にとって、それを知ったことが一番大きい」と、技術よりも精神面での成長を褒めた。今季は開幕から8試合連続安打中と、塁に出ない日がない。中田自身も「打てなくても、次の打席へ気持ちを切り替えることが結果につながっている」と、小さな変化に手応えを感じている。
零敗を喫した前日6日のことだ。試合後、札幌ドームの駐車場へ向かうエレベーターの中で、たまたま栗山監督と一緒になった。「監督の表情を見たら悔しさが伝わってきてね」。思わず、謝罪の言葉を口にしていた。「監督は『謝らなくていいのに。一緒に頑張っていこう』と言ってくれたけど、ヒットが出ても勝ちにつながらないのが、もどかしかった」。4番としての責任感の強さを目の当たりにした栗山監督は「去年以上に自分よりチームが勝つことを意識している。心が動いた」と言う。
今季チーム3勝のうち、2試合は中田の決勝ホームランによるもの。勝負強さも本物になってきた。「“4番=中田翔”という打者になるよう進んで欲しい」という指揮官の願いがかなう日は、そう遠くはなさそうだ。【中島宙恵】



