<巨人1-8阪神>◇18日◇東京ドーム

 打たれたら打ち返すだけや!

 阪神が、巨人打線に打ち負けた前夜までのイヤ~な流れをバットで断ち切った。マット・マートン外野手(31)が4番として、チーム9試合ぶりの1発をマーク。打つわ打つわ、来日最多の5打点。前週は巨人の開幕連勝をストップさせた和田阪神が、今度は東京ドーム連勝を14で止めてみせた。頼もしい4番を軸に、巨人猛追や~。

 バースに負けない虎の優良助っ人、マートンが無敵巨人の前に立ちはだかった。2点リードの3回2死一塁、沢村の内角スライダーを打ち砕いた。クルリと体を回転させ、「カンッ!」という快音と同時に虎党たちが立ち上がる。黄色く染まった左翼席中段へ、今季1号2ラン。早々と沢村を降板に追い込み、昨季から東京ドーム14連勝中だった宿敵に土をつけた。

 マートン

 とにかく勝ちたかったんだ。今年初めて、巨人以外のチームが東京ドームで勝てた。確か今年の巨人はまだ、甲子園でうちに2回負けただけだったよね?

 勝てて良かった。

 最高の笑顔に満足感が漂う。無理もない。一打だけでは終わらなかった。5回に右中間を破る適時二塁打。6回には右翼線二塁打で2打点。1試合5打点は来日4年目で最多。16試合終了時点で両リーグワーストのチーム3本塁打のうっぷんを、バットで晴らした。

 モチベーションも高まっていた。試合前の練習中、三塁側ベンチで関係者と日刊スポーツの1面を眺めながら談笑した。85年4月17日の巨人戦。バース、掛布、岡田のバックスクリーンの記事を見ながら、大先輩たちの偉業を再認識し、気持ちを新たにした。

 日本記録のシーズン214安打を成し遂げた10年から、成績は2年続けて下降線をたどった。11年オフ。03年にドラフト1巡目でレッドソックスに指名された時から使い続けるバットに、別れを告げようとした。形状や重さに変化をつけたい理由があった。1年目に30本しか折らなかったバットを、2年目に50本も折っていたのだ。

 マートン

 もしかしたら何か良くなると思った。でも、どうしても新バットはしっくり来なかった。自分が悪かったと気付いたよ。

 昨季は打率2割6分まで落ち込んだ。それでもバットは変えなかった。初心に戻り、コンパクトなスイングから広角に安打を放つ。失敗を自らの力で乗り越え、打率3割4分8厘と好調を維持している。“優等生”に戻ったマートンが、チームの借金を1日で返済してみせた。【佐井陽介】

 ▼マートンが今季1号を含む5打点の大当たり。1試合5打点は自身来日最多。昨季まで先発4番では通算9試合で打点が0だったが、今季は10試合で9打点を挙げている。スタメン4番での本塁打も自身初。また阪神は今季12球団で唯一外国人の本塁打がなかったが、チーム17試合目でようやく1号が出た。