<広島5-4巨人>◇21日◇マツダスタジアム
ついに大台に到達だ。巨人阿部慎之助捕手(34)が7回1死一塁、右翼席へ通算300号となる5号2ランを放った。捕手では史上3人目。球団生え抜きでは長嶋茂雄終身名誉監督、王貞治、原辰徳、松井秀喜、高橋由伸に続く6人目で、そうそうたるメンバーに加わった。両親の目の前で打てる幸運にも恵まれたスラッガーが、また1つ球史に名を刻んだ。試合は広島にサヨナラ負けを喫した。
豪快に運んだ。阿部が広島中村恭の外角低めのスライダーをすくい上げた。1点リードの7回1死一塁。ボールゾーンで捉えた打球は、角度を保ったまま右翼席に突き刺さった。「300号を目標にやってきたわけじゃありませんが、達成できたことは素直にうれしい。通過点だと思って今後も1本1本積み重ねていきたい」。01年4月13日、東京ドームでの横浜戦(現DeNA)のプロ1号から13年目で大台に乗せた。
ダイヤモンドを1周すると、バックネット裏の観客席に記念の花束を掲げた。「たまたま両親が試合を観戦しているので、目の前で打てたこともうれしいです」。父東司さん(57)と母由紀子さん(56)が立ち上がって息子に拍手を送っていた。12年前のプロ1号もスタンドで見届けた東司さんは「広島に来たのは今回が初めて。目の前でいいものを見せてもらった。いい本塁打だったね」。母由紀子さんの誕生日記念の夫婦旅行に息子から格別なプレゼントが届いた。
ただ、自身のお祝いムードは一切なかった。日ごろから「安打の延長が本塁打。それが勝ちにつながってこそ意味がある」と言う。3回の犠飛を含む3打点の活躍だったがチームは延長11回サヨナラ負けを喫した。試合後は「ホームランのこと?
もう忘れたよ」と、打撃のことは語らずに「俺がもう少し辛抱させてあげられれば。マシソンも打たれたけど、ここまで抑えてきた。健太朗の四球だって仕方ないよ。みんな頑張っているから」と、投手陣をかばった。偉業達成よりもチームの勝利-。どれだけの本塁打を積み重ねても、変わることはない。【為田聡史】
▼通算300本塁打=阿部(巨人)
21日の広島6回戦(マツダスタジアム)の7回、中村恭から今季5号を放って達成。プロ野球38人目。初本塁打は01年4月13日の横浜1回戦(東京ドーム)で河原から記録。捕手では野村克也(657本)田淵幸一(474本)に続き3人目。巨人生え抜きでは王、長嶋、原、松井、高橋由に次いで6人目。



