<オリックス3-9楽天>◇23日◇京セラドーム大阪

 良くも、悪くも、マー君だからつかんだ3勝目だった。楽天田中将大投手(24)が8回3失点。チームの連敗を3で止めたが、不名誉な記録がついてきた。試合後は冷静に「15安打も打たれて、四球も3つ出して、よく粘ったんじゃないですかね」と自虐的に振り返るしかなかった。1試合で被安打15はプロ7年目で自己ワースト。決め球のスプリットなど制球が甘く、1回を除いて毎回安打を浴びた上、得点圏にも走者を背負った。

 一方で、それだけ打たれながら3失点にまとめたのだから、粘り腰ではあった。監督通算16年目の星野監督は「15安打も打たれて勝ち投手になったのは監督生活で初めてじゃないか。粘ったと言えば粘ったんだろうけど」と苦笑いだった。

 佐藤投手コーチは「良い球もあったけど、遅い球が前半多すぎた」と、序盤は変化球をうまく拾われた点を指摘した。オリックス打線の技ありという面も確かにあった。ただ、安打にされた球は、嶋が構えたミットよりボール1個分高かったり、真ん中だったりもした。また、最速は152キロを記録したが、直球で空振りを奪ったのは1球だけだった。

 ネット裏には、ヤンキースのリック・ウィリアムススカウトがいた。早ければ今季終了後、ポスティングシステム(入札制度)によるメジャー挑戦の可能性がある右腕を見守った。昨オフの意思表明後、ヤ軍関係者が来日して直接視察するのは初めて。同スカウトは評価を控えたが、田中の本調子はこんなものではない。8回は志願して投げ、今季最多133球に達した。「今日はセットポジションの練習がよく出来ました」と、冗談ぽく言ってバスに乗り込んだ。次こそビシッと抑えてみせる。【古川真弥】