23日のヤクルト戦(神宮)で左尺骨を骨折した広島前田智徳外野手兼打撃コーチ補佐(41)が手術を受けることが24日、決まった。この日広島市内の病院でCT検査を受け、決断した。今日25日に同病院に入院して「左尺骨整復術」を受ける。

 患部の骨が衝撃によりずれているため、効率よくリハビリを行えるよう手術を選択した。全治は未定だが、一般的には回復に2~3カ月を要し、前半戦の復帰は絶望的だ。

 野村監督は「1週間で(骨折選手が)2人だからな。みんなが戻るのはオールスター明けだな」と嘆いた。右手を骨折した4番エルドレッドに続く、貴重な戦力の長期離脱だ。プロ24年目、41歳の前田智は前日23日、球場を去る際に野村監督に「長いことありがとうございました」とあいさつし、同監督が「そんなことを言うな」となだめたという。打率4割4分4厘と勝負強さを誇る「切り札」の代役は、誰にも務められない。

 野村監督は「軸がいなくなるのは苦しいが、暗い話題をしてもしょうがない」と気持ちを切り替えた。24日に出場選手登録を抹消したベテランに代わり、俊足巧打の天谷が今季初の1軍に昇格した。「走ることは変わらずにやっていきたい」と12球団断トツの28盗塁をマークする機動力を押し出した攻撃を展開する考え。ポイントゲッター2人が帰ってくる夏場まで、辛抱が続く。【鎌田真一郎】