<DeNA5-10阪神>◇26日◇横浜
負けない金曜日を彩ったのは新井良太内野手(29)の1発だ。2点リードの4回、ハマの夜空に描いた鮮やかな放物線。二塁打の兄を置き、オープン戦でもなかった2013年1号をかっ飛ばした。開幕4番ながら、左太もも裏の肉離れで離脱。苦しみを乗り越え、完全復活を証明した。今季初の2桁得点で今季金曜日は5戦全勝。毎日、花金ならいいなあ。
虎の元4番、良太が大きなフォロースルーのまま、夜空にバットを放り投げた。白球は加速を続け、左中間席最上段に突き刺さった。2点リードの4回1死二塁、高崎の低めスライダーを完璧にとらえた。24試合目でついに飛び出した今季1号2ランは推定130メートル弾。恐怖の7番打者が、今季初の2桁得点&金曜日5連勝をけん引した。
新井良
早く1点ほしいというのが正直な気持ちだった。僕も(本塁打を)早く打ちたかった。
初の開幕4番を任されながら、4月5日広島戦(マツダスタジアム)中に左太もも裏を肉離れ。1軍戦線から離脱した。実は予兆があった。3月29日開幕ヤクルト戦(神宮)後の深夜、痛みでベッドから跳び起きた。「足がつってしまってな。やっぱり去年とは違うのかな」。主軸として迎えた今季、心身は想像以上に疲労していた。だからこそ、誰もが通る試練に打ち勝ちたい。
「あれは自己管理能力の欠如。次やらないようにケアしたい」。最短10日間で1軍復帰。まだ完治していない。「(足に)気を使いながらはしんどいな」と苦笑いしながら、日々治療を受けてでもグラウンドに立ちたい理由がある。
開幕直前の3月下旬。兵庫・西宮市内の自宅に小包が届いた。送り主はソフトボール日本代表元監督の宇津木妙子氏(60)。両手で抱えきれない大きさのダルマが入っていた。お礼の電話を入れると、温かいゲキで返された。「願いがかなったら、右目にも目を入れて神社に返すのよ。頑張って!」。もちろん、願いはV奪回。すぐさまダルマの左目に目を入れ、大切にテレビの横に飾ってある。
中日時代の06年沖縄・北谷キャンプ中に同氏のノックを受けて以来の間柄。今春の宜野座キャンプでも直接激励を受けていた。「本当にありがたい。オレは人に恵まれている。頑張らないけん」。開幕4番-。そんな称号より、感謝の思いが体を突き動かす。
先発復帰した20日ヤクルト戦(甲子園)から6戦連続安打。5回1死一、二塁では右前打を放ち、この回6得点のつなぎ役となった。試合前の時点でチーム66得点は両リーグワースト、8本塁打は12チーム中11位。苦しんでいた虎打線が良太に刺激され、爆発した。
調子が上がらなかった鳥谷にも1発が飛び出し、14安打10得点。「謙虚にやっていきたい。丁寧にセンター返しを心掛けていきたい」。謙虚な言葉を並べた良太に導かれ、貯金3で首位巨人に4・5ゲーム差。虎のハッピーフライデーに頼れる男が帰ってきた。【佐井陽介】



