<ヤクルト5-6中日>◇8日◇神宮

 守道劇場が復活だ。5連敗&12年ぶりの2ケタ借金を阻止。神宮の三塁側を歩く高木守道監督(71)は超ご機嫌だった。「おめでとうございますって言ってくれる?

 こんな試合勝ったんだから!」。厳しい試合だったが、と問われた第一声がこれだ。「せいぜいこんな時ぐらいサービスせんとな」。帽子を取って敵地の竜党に両手を挙げて答えた。オープン戦から負けが込んで元気がなかったが、今年一番のはしゃぎようだ。

 引っ張ったのは2000安打男・谷繁元信捕手(42)。初回にルナと和田の適時打で5試合ぶりに先制したが、3回にバレンティンの3ランで逆転された。だが嫌なムードにベテランが活を入れた。4回無死二、三塁で赤川から左翼へ同点の適時打。「いいところで出ましたね」。自画自賛の2001安打目で、再び流れを変えた。

 このヒットが中日での999本目。横浜での1002本と合わせ、過去2人の2球団での1000安打に王手をかけた。さらに過去38人の1000打点にもあと4に迫る一撃だ。奮闘する42歳に続けと藤井&大島の適時打でこの回3点。その後また追いつかれたが、6回に荒木が投手強襲のV撃だ。「1つ勝つのは大変。何年やっても一緒。今日はいい勝ち方ができたけどね」。名球会員としての初出場を飾り、満足そうにうなずいた。

 高木監督も「よう追いついて追い越した」と手放しだ。田島→中田賢→岩瀬の新方程式も初めてズバリ。「意地見せい!

 って言うとったんだ」とボヤキも初めて0だ。試合前は「30連勝ぐらいせんかね」と夢の数字を口にしていたが、ニヤリと言った。「30連勝しそうな気がする」。逆襲へ大きな1勝になったことは間違いない。【松井清員】