<DeNA4-5巨人>◇11日◇ハードオフ新潟

 原巨人が越後の地で、ようやく連敗トンネルを脱出した。2度リードを許す展開も、粘って、粘っての逆転勝ち。1点を追う7回、敵失で追いつき、長野久義外野手(28)の左前適時打で勝ち越した。1点リードを中継ぎ陣が守りきった。スッキリ快勝まではいかないが、前日10日に悪夢の逆転サヨナラ負けを食らったショックも払拭(ふっしょく)した!?

 逆境にも、原巨人はひたすら耐え忍んだ。先制され、中押しの点も奪われた。1度は奪ったリードも、すぐにひっくり返された。それでも逆転の機会は来る。シナリオがあるかのごとく、その時を待った。1点を追う7回、先頭の亀井が右越え二塁打で出塁したのが、その合図だった。続く脇谷の時、原辰徳監督(54)はネクストバッターズサークルに歩み寄った。「思い切っていけ」。とりあえず同点などという考えはなかった。送りバントではなく、強攻策でいった。

 この選択がDeNA守備陣にほころびを生じさせた。脇谷は二塁内野安打。その際、一塁手のブランコが送球を落として、一瞬見失った。わずかなミスにつけこんで、亀井が本塁を突き、同点。さらには無死一塁から、藤村の遊ゴロを相手遊撃手の石川が、二塁に投げずに一塁へ。完全にアウトのタイミングだった走者が二塁に残った。そのチャンスに長野が一振りで決めた。相手のミスを逃さない強さが、巨人にはあった。

 原監督

 非常に苦しいゲームでした。よくひっくり返したと思います。打線もあきらめずに、しぶとくいったのが良かったと思います。

 DeNAの攻撃を受けきって、最後は逆転勝ちした。その試合展開は、この日、引退試合を行った小橋建太のプロレスをほうふつとさせる戦い方だった。親交のある原監督は試合前、その戦いぶりに思いをはせていた。「彼は大好きなレスラーなんだ。相手の攻撃をすべて受けきってね」。偶然にも、小橋流の戦い方で連敗が止まった。

 前夜、7点差をひっくり返された屈辱を一夜で返した。火付け役となったロペスを原監督は高く評価した。「味方の3、4番がふがいない中で、起死回生的な3ランだったと思います」。6回無死一、二塁から1点も取れなければ、逆転への道筋はできなかったかもしれない。開幕直後、勝ち続けた時の、誰かのミスを誰かがカバーする野球。それがこの日はできていた。原点回帰。強い巨人の復活を期待させる内容だった。【竹内智信】