<ロッテ8-10中日>◇15日◇QVCマリン

 中日が延長12回、クラークの2ランで今季プロ野球最長の5時間44分試合を制した。だが劇的勝利にも高木守道監督(71)は不満顔。完投ペースの大野が8回に突然崩れた今中慎二投手コーチ(42)の継投をヤリ玉に挙げた。続投させていなければ、こんなくたびれ勝ちはせずにすんだ…。大逆襲へ問答無用の守道節がさく裂した。

 クラークの劇弾が右翼席に飛び込むと竜党が総立ちになった。12回、中郷から来日初猛打賞で飾る8号決勝2ラン。だが主役は苦笑いだった。「Go

 Home!

 5時間半も試合をして早く帰ろうよ」。もつれにもつれた試合は今季プロ野球最長の5時間44分。昨年3Aで「24回で7時間戦って9打席立った」助っ人でもクタクタだった。それでもドロー寸前、価値ある勝利。だが竜の将はご機嫌と思いきやご立腹だ。

 高木監督

 長くても勝ちゃいいと言ってたけど、今日はそんな気にならん!

 投手コーチは投手に甘いよ。ロッテは逆転逆転で勝ってきとる。でももう1回投げたいというから投げさせて。点取られたら承知せんぞと言うとったけど、点を取られたどころじゃない!

 矛先は今中投手コーチに向いた。1失点の大野を7回で代えるつもりが、本人の志願も聞いた今中コーチが続投を指令。だが、その8回にKOされると救援陣も波にのまれ、一挙6点を失い、同点にされた。それでも9回に1点を勝ち越したが、今度は岩瀬が同点被弾。代えていれば楽勝だったのに!

 の思いが爆発した。

 高木監督

 福谷(中田賢の間違い?)岩瀬でビシっといっときゃいいんだ。だからこうなる。クラークはあれを頼りに出しとるし、元気がないアライバもああやって打って勝因になったことは大きいけどもね。

 打線はアライバが2人で9安打、山崎も適時打2本、大島&ルナにも1発が出るなど今季最多22安打で10点を取った。だが監督には、危うく打ちくたびれになるところだったとの思いが強かった。今中コーチは「本人のためにも、あそこを乗り越えないと今後に生きない」と将来を見据えた続投としたが、監督が一番ほしいのは目先の1勝だった。

 高木監督

 引き分けなんていらん。私は負けてもいいから勝ちたい。勝たなきゃ意味がない。セオリーより開き直って積極的にやっていかんと、この借金だと勝ち進むのは難しいんだ。

 大逆襲には大勝負も必要で、負けも覚悟、引き分け無用とまで言い切った。連勝で借金は1ケタになったが、目はギラつきっ放し。鬼となって交流戦の3連勝締めを狙う。【松井清員】