<中日1-2阪神>◇25日◇富山

 守道竜が泣きっ面にWパンチだ。9回に中田賢が新井良に1発を浴び、3連勝の夢はついえた。試合前には大島が古傷の左肘痛を発症して初の欠場。右手人さし指を虫に刺された先発ブラッドリーが1回で降板するなど、アクシデントが続発した。ともに症状は不明で最悪離脱となれば、戦力ダウンをまぬがれない。借金は再び10。守道竜の試練はどこまで続くのか。

 頼みの中田賢が9回、新井良に痛恨弾を浴びた。8回に荒木の起死回生打で追いついたのもつかの間。3度目3連勝の夢ははかなく散った。高木守道監督(71)も悔しがるしかなかった。

 「中田は下位からだったしね。走者がいれば気の入ったボールがいったと思うけど…。勝つなら8回に一気に逆転しとかんと…」。年に1度の北陸遠征は黒星発進。実は試合前から「富山の怪」とも言えるWパンチに見舞われていた。

 大島が、試合前の打撃練習で左肘痛を発症。すぐ練習を中止し、今季初の欠場を余儀なくされた。富山駅から列車で3時間かけ、岐阜市内の治療院へ直行。高木監督は「肘がロックしたようだ」と厳しい表情で明かした。

 2月キャンプでも痛め、WBC日本代表候補を落選する要因になった古傷の再発。大島は「大丈夫です」と軽傷を強調し、監督も「魔法の先生らしいから」と今日26日の金沢での試合に戻る予定だが、真偽は不明だ。代役に藤井が入ったが、不動の1番を欠いた打線は阪神能見に大苦戦。最悪の登録抹消も視野に入れなければならない。

 一方で先発予定のブラッドリーの右手人さし指の先が急に腫れ出した。球場出発前の宿舎内。本人もその瞬間は分からないというが、ナゾの虫刺されに遭遇したようだ。何とか先発したが、力を入れて投げると激痛が走り、1回を無失点に抑えたところで降板。「こんなの初めての体験だ。指先が使えなかった」。準備していた2番手岡田らが踏ん張って傷口は最小限で済んだが先発当日、よりによって虫に刺されるなんて…。一番大事な右手の指先では、あまりに不幸すぎる。

 高木監督も薄笑いを浮かべるしかなかった。「今さら言っても仕方ない。今年はこんな感じでいくんやない?」。1月の監督自身のインフルエンザに始まり、故障者や病人が続出。この6月も吉見が右肘手術で今季絶望、カブレラも肋骨(ろっこつ)骨折で前半絶望など、終わりが見えないスパイラルだ。逆襲に臨む守道竜を呪うような試練の数々。1番打者&ローテの一角も消えるのか…。「明日勝って1勝1敗にしたいですね」と問われた監督は、腹立たしげに金沢行きのバスに乗り込んだ。「(どうも)ご丁寧に。そんなことは当たり前のことや!」。笑えない1人ノリ突っ込みに、空気も凍り付いた。【松井清員】