<中日3-6巨人>◇26日◇ナゴヤドーム

 これが“男”の打撃だ!

 巨人村田修一内野手(32)が3回2死一、三塁から左中間を破る2点適時二塁打を放ち、逆転に成功した。打線は4回にも長野、坂本の適時打で3点を入れ、中日戦の連敗を5で止めた。村田は6月下旬から上段の構えを下げて、確実性を追求。長距離砲としての欲望を抑え、クリーンアップとしての存在感を示した。2位阪神との差を3・5ゲームに広げ、正念場で引き離しにかかる。

 男のプライドだった。3回、1点差に迫り、なおも2死一、三塁。村田がバットを構える。グリップは上段ではなく下段の位置。見た目の威圧感なら上段の構えだが、眼光には絶対に打つという気迫が宿っていた。中日大野の真ん中低めのスライダーを捉えた打球を左中間へ。2点適時二塁打で、一気に形勢を逆転させた。「前回ナゴヤドームで(3連敗を)やられて、昨日も大敗し、プレーボールで2点を取られ、重苦しい雰囲気だった。何とか流れを変えたかった」と、おとこ気を示した。

 葛藤を乗り越えた。6月下旬、連続本塁打王を獲得した07、08年当時の上段の構えを低くした。飛距離にこだわったスタイルを、封印。「長打は欲しい。でもこのチームでは率も残せないといけない。1発を狙わないわけではないけど」。変更に込めた決意を静かに明かしていた。

 打線の底をなめたからこそ、変えた。開幕時の打順は5番。だが不調で6月9日の楽天戦は8番、同12日のオリックス戦は9番に陥落した。「ここからはい上がる。今の打順は本意ではない。クリーンアップに戻る。今のままでは良くないに決まっている」。失った座を取り戻す覚悟だった。

 7月に入り、月間打率は4割を超える。ロペスが故障中は5番を守り、この日から助っ人が復帰しても打順は変わらなかった。試合前に強い自負を示していた。「言っておきますけど、ロペスがいないから5番だったというつもりはない。(自分が5番という)そういうつもりでやってきた」。そして見せた男の意地。村田ここにありを、証明した。【広重竜太郎】