阪神藤浪晋太郎投手(19)が早くも来季へ向けて始動した。18日、2軍の鳴尾浜球場でランニング、キャッチボールなどを行った。今季は高卒新人ながら10勝を挙げたが、本人は満足することなく、さらなる進化のために肉体改造を示唆。“スケールアップ作戦”スタートだ。

 藤浪の歩みは止まらない。1年間、戦った選手たちにとってはシーズン後の休養期間。人影もまばらな鳴尾浜球場に長身右腕が現れた。外野の芝生をランニングすると、スタッフを相手にキャッチボールを開始した。24試合、137イニング2/3を投げた後でも肩を休めることはなかった。どんどん距離を取って遠投すると、最後は力を込めた球を投げ込んで締めくくった。

 「そんなに疲れはないです。課題はあると思うんで、キャンプ、自主トレと取り組んでいきたいと思っています」

 虎高卒新人としては67年江夏以来となる46年ぶりの2ケタ勝利をマーク。ただ、本人はまったく満足感がないようだ。今季最後の登板は12日のCSファーストステージ初戦。5回4失点でKOされた。その悪夢から、わずか6日後。早くも来季への課題を口にした。

 「10勝したという感じはないですし、たまたまという感じ。満足かと言われればそうでもないです。自分で勝ち取った10勝ではない。勝たせてもらった部分も大きいので」

 さらなる高みへ、藤浪はどんな課題に取り組もうとしているのか-。本人は具体的な内容は口にしなかったが、目指すべき方向性は明かした。

 「試合に向けてやらなくていいので、じっくりやれることがあると思います。1つの部分だけ鍛えても仕方ないので、全体的にしっかり鍛えたい」

 首脳陣は秋季キャンプで藤浪の投球フォーム修正に着手するプランを練っている。具体的には三塁側にインステップする左足の踏み出し方の矯正だが、これは高校時代から作り上げてきた“武器”でもある。藤浪には投球フォームは体の変化とともに変わっていくという持論がある。体幹を含めた体全体のパワーアップと連動してのフォーム修正という今オフの青写真を描いているのだろう。今季は夏まで球数制限を設けられたように、肉体的にもまだ成長過程にある。9回を投げたことはあるが、完投、完封も経験していない。自らの右腕で白星をつかむ決意が、高いレベルへときっと押し上げる。

 「一発勝負ではないので。1年間144試合積み上げて決まるもの。そういう意味で優勝の意味は大きい。それを目指せるようにしたいです」

 先発投手としてペナントレース2位、CS敗退という経験をした。そこからプロ野球の優勝の重みを知った。藤浪は新たな目標を設定し、再び、歩き始めた。【鈴木忠平】

 ◆藤浪のプロ1年目

 高卒新人ではドラフト制以降でプロ野球最速となる、チーム開幕3戦目の3月31日ヤクルト戦(神宮)でプロ初先発も、黒星スタート。プロ初の甲子園登板となった4月14日DeNA戦で初勝利を挙げた。その後3連勝を飾ったが、5月11日に背中の張りのため出場選手登録を抹消された。同26日に再登録され、即先発した日本ハム戦(甲子園)で連勝を4に伸ばした。7月にも2軍落ちしたが、8月4日巨人戦(東京ドーム)でチーム高卒新人では67年江夏以来の同カード初登板初勝利。同31日広島戦(甲子園)で、セ高卒では江夏以来の10勝に到達。広島とのCSファーストステージ初戦にも先発したが、キラに3ランを浴びるなど敗戦投手となり、ルーキーイヤーを終えた。