ソフトバンクが一昨年のメキシカンリーグ首位打者、バーバロ・カニサレス内野手(33=オアハカ)の獲得を目指していることが4日、明らかになった。野球大国キューバ出身で、メジャー経験もある右の強打者。11日にも来日し、宮崎で開催中の秋季キャンプにテスト参加する。現場と、王会長ら球団フロントによる最終チェックが行われる。

 野球大国から助っ人候補がやってくる。入団テストを行うカニサレスは06年にブレーブスと契約。メジャーでは5試合に終わるも、11年からメキシカンリーグで能力を発揮。いきなり打率3割9分6厘で首位打者に輝いた。勝負強く、三振の少ない打撃が売りで、今年は112試合で打率3割7分4厘、29本塁打、112打点。2年連続で100打点を超える。指名打者が多く、今季は一塁も守った。

 キューバの国内リーグで10年間プレーし、代表歴もある。優勝した02年インターコンチネンタル杯ではMVPに輝いた。現巨人の内海(東京ガス)らのいた日本代表とも対戦している。また、今年のWBCにはスペイン代表で出場した。

 現地のサイトによると、亡命には一風変わった事情がある。ハバナでファンに50ドルでキューバ代表チームのユニホームを売ったところ、相手が米国政府関係者だったことが判明。キューバ球界から終身出場停止を命じられた。「それは私にとって、生きてはいけないというほどの意味だった。野球は私のすべて。政治には全く関心がないのに」と亡命を決意したという情報がある。また、以前から国外でのプレーを熱望していたという。

 米球界を経てメキシカンリーグで実績を残したカニサレスに対して、過去に日本ハムも獲得を検討した。今回のテスト参加は、本人も以前から日本でのプレーに興味を抱いていたことから実現。11日にも来日し、宮崎での秋季キャンプに1週間前後、合流する予定だ。王会長ら球団トップも宮崎入りし、獲得に向けた最終チェックが行われる。

 ペーニャが退団し、球団は右のパワー打者としてオリックスとの契約が満了する李大浩、メジャー通算104本塁打のカントゥ(メキシカンリーグ)らをリストアップしている。また、カニサレスの他、外国人投手3人のテストも同時に行う予定。5年ぶりのBクラスに沈んだソフトバンクが今オフ、攻めの補強に動いている。

 ◆バーバロ・カニサレス

 1979年11月21日、キューバ・ハバナ出身。国内リーグでは通算660試合で打率2割9分8厘、52本塁打。04年に亡命。06年にブレーブスと契約し、09年にメジャーデビューした際の背番号25は直前まで現楽天のジョーンズが着けていた。11年からメキシカンリーグでプレー。02年のインターコンチネンタル杯にはキューバ代表でMVP、今年のWBCはスペイン代表。194センチ、115キロ。右投げ右打ち。