楽天のドラフト2位で福島・いわき市出身の常総学院・内田靖人捕手(18)が25日、土浦市内のホテルで入団交渉を行い、契約金6000万、年俸600万円(金額は推定)で合意した。内田は契約金の全額を今まで女手一つで育ててくれた母敬子さん(49)に預けると明言。少しでも早く1軍に上がり、東北と家族に恩返しのプレーを見せたいと意気込んだ。

 常総学院の制服の色と似たえんじ色のキャップをかぶせてもらうと、内田の頬がゆるんだ。「プロに入る実感がわいてきました」。前日24日、仙台市で行われた楽天優勝パレードの様子は練習のため見ていないというが「日本一になって、若手中心で頑張っている印象。僕も早くそこに入りたい」と夢を膨らませた。

 小学5年の時に父を亡くしてから女手一つで育ててくれた母敬子さんに契約金は全て預ける。「自分はまだお金のことが分からないので…」と高校生らしく前置きした上で、しっかりとした口調で母への感謝の思いを話した。「今まで大変な思いをしてきたと思う。プロに行って活躍することが恩返しになる」。

 1年目の目標は「早く1軍に上がること」。高校では内野手兼捕手だったが、捕手に専念し、憧れの嶋捕手に追いつけるよう研さんを積んでいく。「甲子園に行きたい」という夢をかなえるため、進学予定だった地元・いわきの公立校ではなく、私学への進学を許してくれた母へ。仙台でプレーする姿を少しでも早く見せるつもりだ。

 この日、入団交渉に臨んだ敬子さんも「うれしいです。もう恩返しは十分です」と孝行息子に感謝した。「ケガをしないのが一番。チームに貢献できるよう、社会人として責任を持ってやってほしい」とエールを送った。縁あって東北の球団に入ったとあって、できるだけ「おっかけします」。プロ入り後も、一番の理解者として応援し続ける。【高場泉穂】

 ◆内田靖人(うちだ・やすひと)1995年(平7)5月30日、福島県いわき市生まれ。小3年から野球を始め、中央台南中では、地域の軟式選抜チーム「いわき松風クラブ」で全国ベスト8。常総学院では1年春から三塁手としてベンチ入り、甲子園には12年夏から3季連続出場。高3春から捕手に。18UW杯では4番で準優勝貢献。右投げ右打ち。185センチ、88キロ。家族は母、姉。