楽天が大型補強に成功した。21日、ヤンキースFAのケビン・ユーキリス内野手(34)と、レンジャーズFAのトラビス・ブラックリー投手(31)との契約合意を発表。ユーキリスはメジャー通算150本塁打で、08年にはメジャーNO・1打者に輝いた実績を持ち、攻撃の軸として期待がかかる。2人合計で推定5億円を支出。積極補強で、日本一連覇の布陣を固める。

 超大物の名前に、楽天ファンも心を躍らせた。ユーキリス加入の一報に、ネット上では「えええっ!」「まじか!!」といった書き込みが続いた。昨季までレッドソックスの主軸として人気を誇り、08年にはもっとも活躍した打者に贈られる「ハンク・アーロン賞」に輝いた。契約金と年俸を合わせ総額3億円(推定)の1年契約で、背番号は未定。年俸1200万ドル(約12億円)でヤンキース入りした今季は腰を手術し28試合の出場にとどまったが、実績を考えればお買い得感あふれる補強に成功した。

 “メジャー584発コンビ”の結成だ。同通算434本塁打のジョーンズとクリーンアップを組む。無名のマイナー時代にはベストセラーの「マネー・ボール」で紹介され、ビーンGM(アスレチックス)がトレードで欲しがったという高い出塁率も持ち味。元ゴールドグラブ賞の名手でもあり、退団した不動の「5番三塁」マギー(現マーリンズ)の穴を埋めるには、十分すぎる人材だ。

 ここに来て、楽天の補強が進んでいる。当初は苦戦していた。西武片岡、広島大竹と、国内FA戦線で狙っていた選手を逃した。他球団は新外国人選手の発表が続き、星野監督が「うちは補強ゼロや」とボヤくほどだった。嫌な空気を、ユーキリスがぶち破った。レッドソックスでは楽天斎藤、松坂(現メッツFA)、ヤンキースではイチロー、黒田と同僚。妻ジュリーさんは、NFLで2度のMVPに輝くスターQBトム・ブレイディ(ペイトリオッツ)の姉。関係者によると、そのジュリーさんが日本行きを希望したという。家族のサポートも得て、新天地を海の向こうに求めた。

 楽天は、トレードでオリックス後藤も獲得。補強ポイントだった内野手の層が、一気に厚くなった。同日発表となったブラックリーを加え、先発陣のコマも増えた。大目標である日本一連覇へ、戦力がそろいつつある。【古川真弥】

 ◆ケビン・ユーキリス

 1979年3月15日、オハイオ州出身。シンシナティ大から01年ドラフト8巡目でレッドソックス入りし、04年に初昇格。07年の世界一メンバーで、08年の日本開幕戦で来日した。球宴に3度出場し、07年に一塁手でゴールドグラブ賞を獲得。三塁守備にも定評があり、11年の三塁守備率9割6分7厘はア・リーグ1位。09年には第2回WBC米国代表で4番を務めた。メジャー通算打率2割8分1厘(1053安打)、150本塁打、618打点。185センチ、100キロ。右投げ右打ち。

 ◆米通算150本塁打以上の来日外国人

 434本のジョーンズ(楽天)を筆頭に26人目。ユーキリスはジョーンズと楽天でプレーするが、同一球団に150発コンビがそろうのは93年巨人(バーフィールド241本、モスビー169本)以来、21年ぶり2度目となる。来日前150本塁打以上の中で、通算打率2割8分以上は過去5人。通算出塁率3割8分2厘は元中日のドビー(3割8分6厘)に次いで2番目に高い。

 ◆来日1年目の年俸

 05年バティスタ(ソフトバンク)の5億2500万円が最高。来日前年の04年にエクスポズで32本塁打、110打点を記録し、メジャー通算214本塁打と現役バリバリの大物だった。他では95年のマック(巨人)とミッチェル(ダイエー)が4億円、97年グリーンウェル(阪神)が3億6000万円。通算215発の87年ホーナー(ヤクルト)は3億円で来日した。