阪神のドラフト1位岩貞祐太投手(22=横浜商大)が24日、兵庫・西宮市の鳴尾浜で行われた新人合同自主トレに完全合流した。16日に発熱を訴え6日間静養し、その後の部分的な合流を経てこの日再スタート。高知・安芸キャンプ中に行われる2月11日の練習試合西武戦(春野)を視野に入れた。2軍スタートが濃厚な西武のドラフト1位森友哉捕手(18=大阪桐蔭)を斬り、沖縄・宜野座への道を開く。

 気持ちは切り替わった。発熱した16日以降公の場で初めて口を開いた岩貞は、持ち前のプラス思考で離脱のショックを青写真へと差し替えた。

 「沖縄(スタート)だったら、焦りも出てきた。安芸からのスタートなので、一から見つめなおして、沖縄に呼んでもらえるようにしていきたい」

 離脱前は宜野座スタートが決定的になっていた。しかし、発熱の影響で6日連続して寮で静養。和田監督は2月いっぱいまで振り分けの判断を待つ特例案まで示唆したが、調整遅れが響き、前日23日に安芸スタートが決定した。もちろん沖縄への思いは強かったが、いったんスイッチを切ることで、新たなプランができあがった。

 「普通にやればそれ(2月11日)ぐらいに実戦に入れる体作りはできると思う。安芸に行く前にブルペンにも1、2回入るつもりです」

 この日はブルペンこそ入らなかったものの、キャッチボールで投球フォームを念入りに確認した。「普通にやっていたらもうちょっと仕上がってたけれど、そこまで出遅れた感じもない」。照準は安芸での初実戦となる2月11日の西武戦に合わせた。西武はドラフト1位森の2軍スタートが濃厚。岩貞が登板となれば「ドラ1対決」も現実味を帯びる。「まずは自分のことをやっていく段階。対戦相手は二の次。対戦できる体づくりをしたい」。岩貞はあくまでも自らの状態に目を向けたが、デビュー戦で森を打ち取れば首脳陣への復調のアピールにもなる。その先には宜野座キャンプも見えてくる。

 これまでの野球人生、調子が悪いときも「前のことを見ても直らんから」と常に先を見続けてきた。今回の試練も気にはしない。開幕まで約2カ月。心新たに岩貞が再スタートを切った。【松本航】

 ◆岩貞の自主トレ経過

 7日に虎風荘に入寮。9日から新人合同自主トレに参加した。順調に仕上げ、15日には「7割ぐらいの力で投げられるようになってきている」と話していたが、第2クール最終日の16日に、37度2分の微熱で兵庫・西宮市内の病院を受診し練習を欠席。休日だった翌日も病院で検査を受けた。18日以降も熱は下がらず21日まで計6日間寮で静養。22日の朝、再度病院を受診し運動の許可が下りた。その日は室内でトレーニングを再開。23日、屋外での新人合同自主トレに部分合流し、24日に完全復帰となった。

 ◆近年の主な2軍→1軍キャンプ昇格

 05年太陽(藤田太陽)は、03年右肘手術からの復活を期し、初日から精力的な投げ込み。18日に1軍合流、27日オープン戦オリックス戦に先発し、3回を無安打無失点。08年石川俊介は球のキレと安定感で評価を上げ、2月19日昇格。21日紅白戦で1イニング5失点も、フォークが期待され1軍残留。13年田面巧二郎は最速151キロの速球とスライダー、フォークで首脳陣を魅了し、12日に1軍。翌13日の紅白戦で1イニングを3者凡退に抑え、結果を残した。