常勝軍団復活へ-。西武伊原春樹監督(65)が南郷春季キャンプ初日の1日、12球団唯一の「フリー打撃なし」のメニューでスタートを切った。4日までの第1クールは、走り込み中心のほぼ同様のメニューを敢行するという。同監督は「(フリー打撃は)別にやることはない。第1クールの4日間は、この通りのメニューでいく」と、黄金期を支えた森監督時代に倣い、あくまでも土台作りをメーンに置くことを強調した。

 この時期に快音を響かせる必要はない。午前10時から始まった練習は、1時間以上に及ぶ入念なウオーミングアップで体をほぐすと、ランチも挟まずに午後2時には全体練習が終了。指揮官は「私は芝浦工業大学出身で工業系を学んでいたので無駄を省くということが得意。アーリー(早出練習)もランチ特打も無駄なことでしょ」と球界の慣習をばっさり切り捨てた。

 野球の練習メニューで最も時間とスペースを費やすフリー打撃を一斉に10人以上が打てるロングティー打撃に切り替えることで、みっちり走り込む時間をつくった。300メートル走とポール間走を練習の最初と最後に組み込み下半身を強化。効率よくメニューを消化したことで、各選手が全体練習後に無理なく個別練習もでき、栗山キャプテンは「それはそれでいい。うちは若い選手が多いから足りないことを自分で考えてやることは大事」と話した。

 第2クール以降は当然、打撃練習の割合も増え、本格的な練習にも着手する。だからこそ、現状に焦りはなく「森監督の時代は9年で8回、優勝した。ずっとこういう格好でやってきました。まだまだ先は長いですからね」と伊原監督。仕上がりの速度が勝負ではない。黄金時代と同じ調整速度でじっくり、ゆっくりと獅子が王座を狙う。【為田聡史】

 ◆西武のキャンプ第1クール

 伊原監督は前回西武の指揮を執った02、03年にも第1クールに「時短キャンプ」を宣言。フリー打撃を省略し、体力強化やティー打撃を中心に約2時間で終わらせていた。