黄金ルーキーがドキドキの船出だ。楽天ドラフト1位の松井裕樹投手(18=桐光学園)が1日、沖縄・久米島でキャンプをスタートさせた。注目の新人を見ようと日本代表の小久保裕紀監督(42)や宮本慎也氏(43=日刊スポーツ評論家)が訪れる中、早速ブルペン入り。緊張しながらも、今季初めて捕手が座った状態で35球投げ込んだ。報道陣160人が押し寄せる熱狂の中、プロの第1歩を歩み始めた。

 キャンプ初日を終えた松井裕の第一声は「本当に疲れました」だった。まだあどけなさの残る18歳は、初めての連続にちょっぴり気疲れをしていた。午後1時14分。室内練習場でトレーニングをしていた左腕に三輪バッテリーコーチから声がかかった。「松井行くぞー」。ブルペンでの投球という、この日最大のヤマ場に顔がこわばった。

 午後1時19分。マウンドからは球界を代表する面々が見えた。星野監督、小久保監督、宮本氏らが見守り、球を受けるのは嶋。報道陣は160人集まり「高校生の時にも囲まれて見られることは多かったけど、見てる方のレベルが違うので緊張しました」と心臓の音は高鳴るばかりだった。

 プレートに足を乗せ、まずは立ち投げ。ゆったりと右足を上げ軸足に力をためる。1球、2球と間を取りながら投げ込んだ。しかし様子がいつもと違う。全体重を乗せた球がうわずった。捕手嶋の頭上を大きく越える大暴投。これには嶋も「まっちゃん、俺も緊張してるわ!」と声をかけた。すると硬さがほぐれたのか、捕手が座ってからは力強い直球で「パーン!」と鋭いミット音を響かせた。それでも松井裕は「気温に体がついてこなかった。自分の体がついてきて、もう1度できれば」と悔しそうな表情を浮かべた。

 一方で佐藤投手コーチは納得の表情を浮かべた。「直球は思ったより強い。投げ終わって1本足で立てている時に良い球が行った」と評価した。着地した足首が埋まるほど強く体重移動する下半身に注目。さらに良くなるためには投球後に右方向にステップする部分の修正が必要と話した。力が正面に伝わる投げ方にすれば故障のリスクも減るとし、「面白いね。上半身は強い。徐々に、だね」とニヤリ。進化させるためのフォーム改造をにおわせた。

 ウオーミングアップではシャトルランを100本走りきった。新人合同自主トレでは122本を走るも「仙台でやったより全然きつかった。緊張感があった」と振り返る。直前に行った写真撮影から着替えるのを忘れ、ユニホーム姿で臨むなど戸惑う部分は多かった。キャンプ初日の自己採点は「40点」。ようやく始まったプロの世界。初々しさを残しながら、1歩ずつ成長していく。【島根純】