<オープン戦:巨人7-6阪神>◇10日◇伊勢

 巨人-阪神のオープン戦が、「伝統の巨人阪神戦80周年企画」と題され、プロ野球の草創期を支えた巨人沢村栄治氏、阪神西村幸生氏のゆかりの地である三重・伊勢市の倉田山球場で開催された。巨人は沢村氏の背番号14、阪神は西村氏の19でグラウンドに立った。両氏の功績をたたえて、建立された胸像の移設記念式典を実施した。沢村氏の長女酒井美緒さん(69)、西村氏の長女津野田ジョイス幸子さん(76)が出席した。美緒さんと西村氏のおい・西村隆明さん(71)が始球式を務め、原監督らナインも拍手を送った。美緒さんは「感無量です。(父も)喜んでくれていると思います」と感激していた。

 ◆西村幸生(にしむら・ゆきお)1910年(明43)11月10日生まれ、三重県出身。山田中(現宇治山田高)-愛知電鉄-関大を経て37年にタイガース(現阪神)入団。同年秋に最多勝(15勝)最優秀防御率(1・48)の2冠で優勝に貢献。巨人との年度選手権決定戦で3勝を挙げ、チームを初の年度優勝に導いた。39年まで通算3年で112試合、55勝21敗、防御率2・01。二日酔いで登板するなど“酒仙投手”の異名があった。同郷の沢村とは37年の1年だけ投げ合い、4度の先発対決は西村3勝0敗、沢村1勝3敗。34歳の45年4月、フィリピンで戦死。77年野球殿堂入り。167センチ、64キロ、右投げ右打ち。

 ◆沢村栄治(さわむら・えいじ)1917年(大6)2月1日生まれ、三重県出身。34年に京都商(現京都学園)を中退し、全日本の一員としてベーブ・ルースやゲーリッグらの全米オールスターと対戦。11月20日には1失点で完投した。35年の米国遠征を経て巨人に入団。快速球とカーブでプロ野球草創期を代表する投手になった。史上初のノーヒットノーランをはじめ、ノーヒットノーラン3度。通算105試合、63勝22敗、防御率1・74。27歳の44年12月、台湾沖で戦死。背番号14は永久欠番。47年に沢村賞が制定され、59年第1回野球殿堂入り。174センチ、71キロ、右投げ左打ち。