<オープン戦:巨人2-3日本ハム>◇22日◇東京ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(19)が、首脳陣が課した「最終試験」を軽々とクリアした。巨人戦に先発し、自己最速タイとなる157キロをマークするなど、5回5安打4奪三振。開幕前最後の登板を無失点で締めた。強力巨人打線を相手に、あえて球種に制限をかけられた中での好投。開幕カード(対オリックス、札幌ドーム)は打者として起用される方向で、2カード目の4月3日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に先発登板することになりそうだ。

 本気になったのは、最後の最後だけだった。登板予定最終回の5回2死。開幕前の調整があと打者ひとりとなり、大谷はギアを上げた。「終盤にさしかかるところで、どれだけ腕を振れるか試したかった」。打席には巨人坂本。155キロの直球から入ると、続く2球目、自己最速タイとなる157キロをマークした。「強めに振ったときに(球速が)出た。無意識より意識的に出る方がいいので、よかった」。頭で描いた通りに、体が動いている証拠だった。

 厳しい試験を課せられていた。4回が終わるまでは、キャンプ中から取り組んできたパワーカーブなど、数球種に使用禁止令が出されていた。スタンドに陣取る他球団のスコアラーに手の内を隠すとともに、「(球種を)なくしたときにどういう投球をするのか見たい」(厚沢投手コーチ)という意図もあった。

 だが大谷は、難関をあっけなく越えた。強力打線を相手に、使えるのはスライダーとフォークだけ。それでも1回に長野から144キロスライダーで最初の三振を奪うと、2回はすべてフォークを決め球に、ロペス、アンダーソン、橋本から3奪三振。「運でいけた部分もあったけど、自分で納得できたボールもあった」。5回5安打無失点。自信と手応えを得た。

 いつもは辛口の栗山監督も「あれだけ間があいて(中13日)、巨人戦という中で、いろいろなことが前に進み始めたのかなぁと。内容は悪くなかった」とたたえた。外国人野手の調整が遅れていることもあり、28日からの開幕カード(対オリックス、札幌ドーム)は打者として起用される方向。投手としては、4月3日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で今季初先発のマウンドに上がることになりそうだ。「まだ逆球があった。大事な場面で(逆球が)出ると痛いので、しっかり狙ったところにいけるようにしたいです。計算できるボールを増やしたい」。“2人の大谷”が、ともに大きな戦力として、開幕へ向かう。【本間翼】