<DeNA9-15巨人>◇2日◇横浜

 巨人の新外国人レスリー・アンダーソン外野手(32)がDeNA戦で無双状態の5安打を放ち、大逆転勝利を呼び込んだ。6回に3者連続本塁打の起点となる2号ソロ。8回1死満塁からは2点適時打で同点とした。球団初のキューバ出身選手が、チームの外国人では94年のコトー以来となる5安打の猛打で、10点のビッグイニングを生み、最大5点のビハインドを豪快にひっくり返した。

 巨人の危機を救ったのは、キューバ人助っ人だった。5点差を追う6回。尚成がほとんど見せていなかった106キロのカーブにも、体の軸がぶれない。鋭い腰の回転とともに打球は一直線に右翼席へ。「チームも全然、あきらめていなかった」。反攻が始まった。アンダーソンがこじ開けた風穴を村田、ロペスの球団6年ぶりの3連発で広げ、尚成をKOした。

 再び5点差を追う8回は2点差まで詰めて、なお1死満塁。剛速球と鋭いフォークを武器にする山口に立ち向かった。「トオル」と日本名のあだ名をつけてくれた阿部は開幕前から「俺だったらお前をこう攻める」と日本式の配球傾向を教えられていた。冷静に失投を待ち、真ん中のフォークをたたきつけて、一塁手の頭上を越す2点適時打で、ついに同点。さらに阿部の押し出し四球、坂本らの適時打で10得点のビッグイニングが完成した。

 成功を夢見て、日本に来た。宮崎キャンプが始まってすぐに「俺は首位打者のタイトルを取りたいんだ」とチームスタッフに熱く語った。ビッグマウスではない。大志を抱いていた。だから努力した。苦手なバントに対しては徹底的に取り組んだ。1球ごと成功するたびに、自画自賛するように大きくうなずいた。失敗すれば「クソ!」と試合でのミスのように腹を立てた。レイズ3Aで同僚だった松井秀喜氏も獲得の一報を聞き、太鼓判を押していた。「真面目だし、能力も高い」。間違いなかった。

 巨人が3者連続本塁打を記録して負けたことはない。2度も無死満塁から無得点に終わり、空気は最悪だった。その危機から救った。帽子の裏には開幕後、スペイン語で「神様は君のことを愛しいる」と書き、妻や2女のイニシャルを入れた。「チームはすごくまとまっている。家族のようだ」。家族のために快打をささげ続ける。【広重竜太郎】

 ▼巨人が8回に10点を挙げて逆転勝ち。巨人にとって5点差以上の逆転勝ちは08年9月12日ヤクルト戦以来で、1イニング10点以上は03年4月27日横浜戦の8回に10点を記録して以来9度目。前回も横浜スタジアムで、同じ相手、同じ球場、同じイニングに2ケタ得点を記録した。巨人の20安打以上は昨年8月25日DeNA戦(21本)以来となり、6回に記録した3者連続本塁打も08年8月27日横浜戦以来と、最近の猛打記録の相手はDeNAばかりだ。これで今季の安打数は早くも77本。開幕5試合の安打数としては過去最多だった64年大洋と86年西武の66本を大きく上回り、プロ野球史上初めて初めて70本を突破した。