<阪神5-6DeNA>◇8日◇甲子園

 DeNAトニ・ブランコ内野手(33)が一振りで虎党を黙らせた。3点ビハインドの7回2死満塁。藤浪の137キロの真ん中高めのカットボールをバックスクリーンに放り込んだ。7回裏、阪神の攻撃前に飛ぶはずのジェット風船が宙を舞った。今季1号に「ストライクが来たらしっかりたたくことを心掛けているところに変化球が来て、捉えることができた」。興奮したまま話した。

 ブランコは藤浪を得意とする。昨季の対戦成績は9打数3安打、2本塁打の3打点を放った。

 広島戦(6日)終了時点で打率2割9分6厘ながら打点2で長打は2本のみ。決して悪い数字ではないが中畑清監督(60)は不満だった。6日の試合前に中畑監督はブランコの打撃フォームを修正。その試合でいきなり長打が出た。ブランコは「監督のおかげで良くなった。どこを修正したかは秘密。相手投手にばれたくないから」と話すにとどめたが、ここぞの場面での4番の役割を果たし笑顔だった。

 見た目やプレースタイルからは、パワーのみに見えるが、髪を切るという意外な特技を持つ。昨シーズンは中村やスタッフの髪をカットしたりした。バリカンひとつでいろんな髪形にする。襟足」などの細かいところはカミソリで整える。チームからは「プロと変わらない」と言われるほどのすご腕の持ち主だ。

 チームも4カード目にして今季初の初戦を白星発進を飾った。中畑監督は「こんな風に胸を張って歩くのは初めてだな」とドヤ顔。まだ借金「2」だが、目覚めた4番がいれば怖くない。【細江純平】