<阪神4-2ヤクルト>◇18日◇甲子園

 さすがキャプテンや。阪神鳥谷敬内野手(32)が電光石火の攻撃で、連敗を止めた。初回に決勝打となる先制適時打を放つと、二盗&本塁への激走と足でも魅せた。通算100度目の猛打賞もマーク。本拠地甲子園に帰ってきて、虎が息を吹き返した。

 マグナムの弾道だった。3点をリードし、2回は2死一塁になった。鳥谷の痛烈なライナーが小川を襲う。捕球姿勢を取る間もなく、右手を直撃。一塁側ファウルゾーンまで転がっていった白球が衝撃の強さを物語った。一塁走者の大和は一気に生還。敵のエースから4点目を奪い、マウンドから引きずり降ろした。

 鳥谷

 裏の攻撃だし、先に点を取れば優位に試合を進めていける。(広島で)連敗してしまったので何とか先に点を取り、こっちの流れにしたい思いだった。

 序盤の速攻劇はキャプテンの独壇場だ。1回1死二塁の先制機。外角シュートを逆らわずにはじき返し、三遊間を破る。小気味よく先制点を刻むと、すかさず二盗に成功した。「常に先の塁を狙っている」。ゴメスの打球を遊撃西浦がはじき、その間に2点目のホームを駆け抜けた。開幕から低調で打率1割台に落ち込んだこともあったが、晴れて3割台に復帰。4回には右前打を放ち、通算100度目の猛打賞を記録した。

 4日に黒星を喫した小川をKOし、2連敗でストップ。本拠地では6連勝に伸ばした。主役は鳥谷だ。その猛打ぶりは「甲子園の申し子」と称してもいい。今季7戦で28打数13安打、打率4割6分4厘をマーク。過去10年間で4度、甲子園打率は3割を超える。好成績の秘密をこう明かす。

 鳥谷

 マウンドが低い分だけ、同じ投手でも他の球場に比べて体感速度が遅いのかもしれない。そういう意味で相性がいいのかな。同じ投手でも、甲子園の方が2、3キロ遅く感じます。

 小高いマウンドにいる投手を「見下せる」打者心理が猛打につながっている。

 2月の宜野座キャンプから、すり足打法に挑戦したが間合いに試行錯誤。開幕直後はすり足に加えて、昨季までの右足を上げる打法も取り入れ、最終的に昨季までのスタイルに落ち着いた。4回の右前打は4日以来、久々の引っ張りの快打だ。鳥谷は「少しずつファウルにならずにヒットになっている。1日でも長く続けていきたい」と言う。ミスショットは減り、堅守も見せつけ、2年ぶりの1試合2盗塁も決めた。一流の走攻守が際立ったナイトゲームだった。【酒井俊作】

 ◆猛打賞メモ

 パ・リーグで203回、セ・リーグで48回マークした張本(ロッテ)の251回が最多。2位は川上(巨人)の194回(1リーグ69回、セ・リーグ125回)で、セ・リーグ記録は長嶋(巨人)の186回。現役最多は小笠原(中日)の166回で、現役選手だけで100回以上は鳥谷を含めて17人。