<巨人4-2ヤクルト>◇1日◇東京ドーム

 巨人がベテラン高橋由伸外野手(39)の一振りで、ヤクルトとの接戦を制した。同点の6回1死二、三塁で代打で登場。レフト前に運ぶ2点適時打で決勝打とした。今季はアンダーソンの加入や橋本の成長などで外野のレギュラーを奪えず、代打が主な仕事場。試合前まで打率1割6分7厘と不振に苦しんでいたが、値千金の一打でカード勝ち越しを決める勝利をもたらした。

 内角をえぐるような剛速球を、美しい一振りではじき返した。6回1死二、三塁。ヤクルト・カーペンターの151キロ直球に高橋由のバットが反応した。最短距離で振り抜き、やや詰まりながらもレフト前へ運んだ。走者2人を迎え入れたチーム最年長39歳の働きにベンチの後輩たちは大喜び。ベテランも珍しく右拳を照れくさそうに上げて応えた。「勇人(坂本)がやっていたのが、目に入ったから」と優しく笑った。

 プロ17年目。外野は新鋭のアンダーソン、橋本の活躍で1枠も空かなかった。与えられたポジションは代打。「グラウンドにいるよりもベンチにいる時間の方が長い。(出場時と)同じ空気になれるように、いろいろ想像して、いつでもいけるように準備する」。イチローに倣い、日々、同じルーティンを繰り返す。「年々、体力が落ちる。だから同じことを繰り返すように努力する」と明かす。

 だが試合前までは代打で12打数1安打4打点と思うように結果が出せなかった。「いいところで1本打てて、やっとスタートが切れた感じがする」。開幕が訪れたような気分に浸った。

 打撃技術は球界屈指だ。開幕前のオープン戦時に宮本慎也氏(日刊スポーツ評論家)と談笑した。「ティー打撃をきれいに打つ種目とかあったら、世界で3本の指に入る自信がありますよ」。美しい打撃の型でプロの世界を生き抜いてきた自負がある。「不思議と(球が止まっている)置きティーが打てない」と意外な弱点も明かすが、動いている球にはめっぽう強い。だから唯一の打席、フルカウント、150キロ台の速球と140キロ台の高速スライダーが織り交ざる高難度な状況にも対応できた。

 外野の定位置を狙う気概はある。だがチームの勝利を思う気持ちも強い。「いつでも(先発で)行ける気持ちの準備はしている。ただこれが今の僕の仕事」。頼もしい代打の切り札が控えている。【広重竜太郎】

 ▼代打の高橋由が勝ち越し打。代打でのV打は11年10月12日阪神戦、13年8月1日ヤクルト戦に次いで3度目だ。高橋由の今季代打成績は13打数2安打、打率1割5分4厘となり、2点差以内で起用されたケースは三振、三振、中飛、一ゴ、中飛、四球、一ゴ、二ゴ、中飛、投ゴ、左安。これまでは9打数0安打で、大事な場面でようやく代打安打が出た。