<阪神1-6広島>◇1日◇甲子園

 今季初の単独首位も、甲子園初の11連勝もならなかったけれど、虎にはこの男がいる。マウロ・ゴメス内野手(29)が、意地の広島大瀬良撃ちや。0封負け目前の9回、バックスクリーンへ2戦連発となる5号ソロ。球団通算7500号の節目の1発。勝利の祝砲とはいかなかったが、大瀬良に2試合連続で負けた悔しさは必ず晴らしてみせる。

 負けてなお、手ごわさを示した一撃だった。9回、プロ初完封を狙う大瀬良の表情がゆがむ。ゴメスは真ん中へと入ってきた直球を容赦なく強振し、グングンと伸びてバックスクリーンへ。6点のビハインドで敗色濃厚だった。そんな展開など関係ない。悠然とダイヤモンドを1周する姿は、4番の風格が漂っていた。

 完敗後、5号ソロアーチを架けた助っ人はにこりともせずに言う。「0点が続いていたから。ああいう形で点が入って良かった。最後は、自分も打てる球があれば、しっかりたたいて何とか塁に出ようと思っていたんだ」。この日、3打席苦戦した大瀬良にも最後に対応。来日初の2試合連続弾をマークした。最近4発は対戦2度目の投手から。いよいよ「大砲」にスケールアップする、量産態勢の気配がプンプンとにおう。

 球団新記録の甲子園11連勝も首位奪取も逃したが、最終盤の粘りに和田監督も手応えを口にした。「昨日は勝つには勝ったけど、今日は負けるにしても、最後にああいう攻撃ができるかできないか。こういう積み重ねだね。試合が終わるまで何とかしようという気持ちだよ」。2戦2敗した大瀬良とは、13、14日の2連戦(米子)で再戦する可能性もあるだけに、一泡吹かせた事実は大きい。

 変わることを恐れない姿勢が好打を呼ぶ。福留からもらった白木のバットがゴメスのラッキーアイテムだったが、実は茶色のタイプも譲り受けており、前日4月30日はこれで本塁打を飛ばした。関係者には「手に持った感触がいいんだ」と話す。この日の試合前練習も茶色バットを使ったが試合は白木で勝負。感覚に従う。神経質ではなく、柔軟なスタンスがうかがえる。

 2連勝で止まり、2位のままだ。それでも、敗戦のダメージを、まるで感じさせない。不安はない。頼もしい4番がどっしり構える強力打線が、5月戦線を引っ張る。【酒井俊作】