<楽天6-5ソフトバンク>◇3日◇コボスタ宮城

 楽天アンドリュー・ジョーンズ外野手(37)が、2発のアーチで、チームを勝利に導いた。1回2死三塁、中田の甘いスライダーを先制10号2ラン。4回は無死一塁で直球を11号2ラン。ともに左越えの2打席連続本塁打で、オリックス・ペーニャを抜いてリーグ単独キングに躍り出た。5月は3試合5発と、4月とは見違える爆発力に、星野監督からは「別人疑惑」のジョークも飛び出た。

 前夜の「観客おでこ直撃弾」とは訳が違う。2発とも、高い放物線を描いて、左翼席中段に舞い降りた。二塁で止まる必要もない、文句なしのアーチに、ジョーンズは勢いよく、2打席連続でダイヤモンドを駆け抜けた。「ホームベース上にくる狙い球を、ミスなく仕留めることを心掛けた。それが、うまくいった」と満足そうに振り返った。

 打率1割台に苦しんだ4月とは別人のようだ。1日のロッテ戦で目覚めの2発。前夜は空砲ながら1発決めた。そしてこの日は、先制と追加の2ラン2発。3戦5発の暴れようだ。星野監督は「なんか、弟か兄貴が来日しているようだな。ずいぶん、4月とは変わったな」と、別人が打席にいるのではとジョークを交え、復調を喜んだ。固い信念で4番は代えなかった。我慢に我慢を重ねた4月の苦労が、やっと報われた。

 突然変異の量産で、本塁打リーグトップに立った。ジョーンズは「本塁打は意識していない。ラインドライブのかかった、強い打球を打つことだけを考える」と言う。本塁打は結果論と言い切るが、不振脱出のための努力はしてきた。4月下旬のオリックス戦から仙台に帰ると、重心を、やや右足に残すようにスタンスを微調整した。試合前は室内練習場でカーブマシンを相手に、体重を残しながら、ボールを引き付けるスイングを繰り返した。「体重を残すことで、より長くボールを見られる。しかも、真っすぐに差し込まれない。変化球への対応が良くなった」と、復調の技術的な根拠をつかんでいる。

 「4月は流れが悪かったが、5月になって、いい流れでプレーできているよ。去年のような試合を続けたい」。GWの躍進で、借金3を完済したい。【金子航】