<オリックス8-2ロッテ>◇6日◇京セラドーム大阪

 「何が起こったのか分からなかった」。ロッテ荻野貴司外野手(28)は、一塁を蹴る直前、異変を察知したが、正確にはつかめなかった。視界の片隅では、左翼手の竹原が後ろ向きに1回転していた。転がる打球を確認。「あとは一気に走りました」。史上初の先頭打者初球ランニング本塁打となった。

 前日5日の試合の反省が珍打を生んだ。この日の試合前のベンチで、荻野貴は顔をしかめていた。「昨日の三塁打は危なかった。二塁の手前でちょっと緩めてしまって、三塁がギリギリになってしまった。ああいうことをしていてはダメですね」。全速力の大切さを意識していたからこそ、相手のミスにつけ込めた。

 さらに言えば、初球を打ったのも5日の試合で積極的に振っていけなかった反省を生かしたから。「とにかく積極的にいこうと思っていた」と、初球の直球を振り抜いた。

 2日に1軍昇格のあいさつをした際、伊東監督から「チームはいい流れだから、邪魔をしないでくれよ」と冗談を言われた。その試合でノーヒットノーランを食らい、同日に昇格した今江と2人「どっちがインケツだ?」と仲間からいじられた。なんとかチームの役に立ちたい思いが、その後の快打連発につながった。

 ペーニャの特大弾とは毛色の違う推定飛距離60メートルの本塁打。「ぼくの場合はほんとラッキーでした」と苦笑いしかなかった。球界トップの俊足には意外なことに、ランニング本塁打は郡山高時代に打った記憶があるだけだという。伊東監督も「思わぬ形で点が取れたけど…」と振り返った珍本塁打。勝利につながらなかったことが、喜びを半減させていた。【竹内智信】

 ▼1番打者の荻野貴が初回に初球をランニング本塁打。初回先頭打者ランニング本塁打は00年9月2日宮地(西武)以来8人目で、初球を打ったのはプロ野球史上初めてだ。荻野貴の本塁打は通算7本目となり、先頭打者、ランニングはともに初めて。8人のうち三宅、松井、坪井、宮地、荻野貴の5人が自身初の先頭打者弾をランニングで記録している。