<中日3-6阪神>◇6日◇ナゴヤドーム

 死闘は藤浪の全力投球から始まった。試合開始から荒々しい阪神藤浪晋太郎投手(20)がマウンドにいた。過去5試合の投球とは明らかに違う。マウンドを蹴り上げる姿には力強さと躍動感があった。白星こそつかなかったが、6回3安打2失点とまとめた。

 「調子がよかったので、どんどん行きました。球数は使ってしまったけど、悪くはなかった。ムダな四球は減らしていきたい」

 試合は作っただけに、同点の6回に許した勝ち越し点を悔やんだ。先頭のルナに粘られ、四球を与えた。安打、バントでつながれ、内野ゴロの間に失点。「先頭への四球がもったいなかったです。そこが悔やまれます」と唇をかんだ。

 長所でもある荒々しさに、打者は腰を引いた。少々のボール先行、四球など気にしない。他の投手にはない力がある。2回には155キロの直球に150キロのツーシームをまじえて3者連続の空振り三振を奪った。150キロのツーシームに屈した中日和田は、ベンチで何度も首をかしげた。

 「打者3巡目の壁」を意識し過ぎていた。「普通にやれれば大丈夫だと思います」。そう言って、初回から力でぶつかっていった。高校時代から肩のスタミナは抜群にある。開き直ったように腕を振っていった。

 柔軟に思考を変化させられるのが、藤浪の武器でもある。「前日のボールが一番いい」。中西投手コーチのアドバイスを受け、高校時代から続ける調整を変えた。登板前日に入っていたブルペンを、プロではスタンダードな調整法の2日前に変えた。プレートは前回から引き続き一塁側を使った。

 ロケットスタートは最終到達点ではない。模索しながら、進化を続ける。イニングを終えるごとに見せたガッツポーズは気持ちの表れだ。勝ちこそつかなかったが、収穫の多い試合だった。【池本泰尚】