<阪神3-6巨人>◇10日◇甲子園
巨人が理詰めの防御で修羅場をしのぎ、延長勝ちに持ち込んだ。巨人は4番ゴメスに対し、二塁から三塁間に内野手を3人配す、極端な左寄りシフトを敢行。9回2死満塁のサヨナラのピンチでゴメスを迎えたが、視覚で重圧を与え、思惑通り空振り三振に仕留めた。直後の延長10回、レスリー・アンダーソン外野手(32)に決勝7号3ランが飛び出した。大胆さと繊細さが絡み、6-3で阪神に連勝し、貯金は今季最多の8に膨らんだ。
理詰めで、何が何でも守る。同点の9回に巨人が見せた防御策は、ベンチの頭脳と選手の技術が結集したものだった。
マウンドには、マシソンではなく山口。相手の先頭柴田が左打者、だからではなかった。局面で、最も信頼の置ける男で初手を打った。安打と犠打で1死二塁。思惑が狂いかけたその時、原監督が「二の矢」を放った。左翼の高橋由を下げ、鈴木を配した。守備の総合力では、高橋由に分がある。しかし、打球に詰めるスピードを計算し、足のスペシャリストに任せた。
原監督は返す刀でマウンドに向かった。「(塁を)詰めよう」と意思を統一した。確認通りの四球で一、二塁。2死までこぎ着け「二の矢」が生きる。鳥谷の左前打は、ラインドライブのかかった打球だった。鈴木が猛チャージで捕球。サヨナラの悲劇を防ぎ、ハイライトは来た。2死満塁、4番ゴメスだ。
この日、ベールを脱いだ秘策「ゴメスシフト」を貫いた。二塁手の片岡が二塁ベース左側に立ち、坂本が三遊間を詰める。一塁手のアンダーソンはやや二塁側に位置を取った。原監督は「データが集まりつつあった。思い切って」と説明した。引っ張りの打球傾向がデータに出ていた。
山口が網に引っかけようと、執拗(しつよう)な外角3球で追い込む。カウント1-2。状況が変わる。「追い込んでから(打撃の)変わり身を見せる可能性があるから」(川相ヘッド)と、定位置に戻した。水際を完全に防ぎ、最後は外角シュートで空を切らせた。打席のゴメスからはシフトがよく見える。あえて「網」を見せ、視覚から追い詰めた。
直後の延長10回、アンダーソンの豪快な1発が出て、試合を決めた。しかし勝負の潮目を変えたのは、直前に完遂した勝負のディフェンスだった。【久保賢吾】



