<阪神1-0巨人>◇11日◇甲子園

 メッセが歴史的白星で、菅野の連勝街道に待ったをかけた。阪神ランディ・メッセンジャー投手(32)が、巨人相手に4安打完封勝利だ。虎投の甲子園での2試合連続「1-0完封勝ち」は43年ぶりの快挙。福原戦線離脱、マートンの体調不良による欠場と、巨人戦3連戦3連敗危機に陥っていたチームを救ってみせた。

 メッセンジャーが今季2度目の完封をド派手に飾った。チームの連敗を4で止め、喫すれば15年ぶりだった甲子園でのG戦3連戦3連敗を阻止。何より、体調不良によるマートン不在をカバーし、セットアッパー福原離脱の緊急事態も乗り切った。球団では71年江夏以来となる、甲子園での2戦連続1-0での完封勝ち。今季最多観衆4万6718人の視線が集まるマウンドで仁王立ちした。「早い展開で点をとってくれて楽だった。強い球を低めにコントロールすることがテーマだった。ここ最近、低めのフォークを見逃されていたからね」と胸を張った。

 1回からエンジン全開だった。投じた12球はすべて直球。首を振ってまで、こだわった。直球とフォークで三振を量産するスタイルを変え、巨人打線を翻弄(ほんろう)した。右翼から左翼方向へ吹く強風も頭に入れ、「強い真っすぐをゾーンに低く投げられれば打者は簡単には打てない。強い球を最初に投げて見せておきたかったんだ」と、左打者には内角を果敢に攻めた。

 序盤のパワーピッチが終盤に生きた。6回、先頭打者に安打を許すと、ギアチェンジ。「ここという場面だと思った。集中した」と1死からアンダーソン、阿部を変化球で連続空振り三振に切った。この日は3奪三振。リーグ最多の51Kを誇る奪三振マシンが、勝利にこだわった投球。捕手鶴岡にも導かれ、裏をかく「日本流の配球」が本領を発揮した。

 3勝すべてが、本拠地甲子園で挙げたものだ。聖地で輝く右腕がいれば、チームは窮地でも踏ん張ることができる。苦戦続きだった9連戦を3勝6敗と負け越したものの、負の流れを断つ白星締めで風向きも変わるはずだ。

 ウイニングボールを受け取ると、スタンドで見守る家族を指さした。本拠地ではいつも家族の声援がある。「奥さん、母、そして球場に来ているすべてのお母さんに。『ハッピー・マザーズ・デー』」。198センチが普段より大きく見えた。「虎の子の1点」を守り抜いた母の日の主役は、頼もしいパパだった。【池本泰尚】

 ▼メッセンジャーが4月29日広島戦に次いで今季2度目の1-0完封勝ち。シーズン2度以上の1-0完封勝ちは11年ダルビッシュ(日本ハム)以来だが、阪神では74年古沢が5月12日ヤクルト戦、6月22日巨人戦で記録して以来、40年ぶりになる。甲子園球場で2試合続けて1-0完封勝ちした阪神投手は、71年9月27日広島戦、10月2日ヤクルト戦の江夏以来43年ぶり。外国人ではバッキーが68年7月9日大洋戦、同14日巨人戦で記録して以来46年ぶり。

 ▼メッセンジャーの巨人戦完封勝利は12年9月5日に次ぎ2度目。日本での完投勝利は10度目だが、このうち3奪三振は最少となった。また今季甲子園では3戦3勝、防御率0.35の好成績(他球場では0勝4敗、防御率5.79)。