<ロッテ2-12楽天>◇11日◇QVCマリン

 楽天辛島航投手(23)が粘りの投球で3勝目をマークした。7回を6安打1三振3四球の2失点に抑えた。前日まで防御率1・96と、チームの開幕ローテーション投手では防御率トップながら、ここまで3連敗と勝ち星には恵まれなかったが、この日は20安打12得点と豪快な援護を受け、4月13日ロッテ戦以来の白星を手に入れた。

 我慢の男の真骨頂だった。4回だ。四球と二塁打で無死二、三塁のピンチを招く。マウンドに来た佐藤投手コーチから「もっと腕を大きく使え。それじゃ、キャッチャーまで届かないぞ」と指摘され、我に返った。「今日は全然ダメでした。次は『リズム良い投球で勝てた』と言ってもらえるようなピッチングができるよう、しっかり調整したいと思います」と振り返るように、制球に苦しんだ。長所である思い切りの良さが影を潜めていた。コーチの助言で腕の振りを取り戻し、クルーズの内野ゴロの間に1点を失ったが、失点はそれが最後だった。

 4回2死二塁から吉田の打球は遊撃失策となったが、後続は断った。味方にミスが出ても、その後、キッチリ抑える。その姿が、野手の信頼を生む。辛島とは、そういう男だ。

 勝てない3週間について、辛島は「そればかりは、しょうがないです。数字は気にしません。自分の投球をするだけです」と淡々と話す。前回4日のソフトバンク戦もそうだ。8回1失点も、0-1で敗れた。ちょっぴり心が折れても不思議ではない負け方だった。それでも試合後、「あいつは、援護がないのに慣れているから、大丈夫だよ」との声が聞こえる。辛島に限って、へこたれるわけがない-。チームには、そういう共通認識がある。だから、周囲は敗れた次も好投すると期待する。

 昨年の日本シリーズのことだ。楽天ヘッドコーチの経験を持つ巨人橋上コーチは「辛島の強心臓にやられた。あいつは入団した時から強心臓だった」と日本一を逃した要因として、真っ先に辛島の名を挙げた。折れないタフなハートがあるから、我慢の投球ができる。星野監督も「(援護が)0点の時に1失点で頑張っている。打たない方が、いいんじゃないか?」とジョークを飛ばすのは、頼もしさの裏返しだ。【金子航】