<楽天1-2オリックス>◇13日◇コボスタ宮城

 オリックス西勇輝投手(23)が、75年ぶりに球団記録に並んだ。楽天戦に8回無失点の好投で勝ち、開幕から7戦7勝。39年に高橋敏がつくった球団記録と並んだ。3、4月の月間MVPを受賞した勢いを5月も維持して“五月病”気味のチームにカツを入れた。

 西が、阪急の黎明(れいめい)期に作られた記録に、75年ぶりに並んだ。開幕から7戦7勝。39年に高橋敏がつくった球団記録に肩を並べた。23歳の若武者は「光栄ですが、1戦1戦大事に戦っていきたい」と控えめに喜んだ。

 快挙までの道程は苦しかった。1回から4回まで毎回安打されるなど、7回を除いて毎回走者を許した。だが、6回1死一、二塁で楽天の新戦力ボウカーを投ゴロ、銀次を一直に仕留めるなどでピンチをことごとくしのいだ。丁寧に、粘り強く低めに投げ、8回を投げ終えるまで1点も許さなかった。

 「今日は一段と気持ちが入っていました。カード頭だし、責任がある。連敗も出来ない。苦しかったですが、野手のみなさんのおかげでゼロに抑えられた。ほっとしています」と笑顔で振り返った。

 マウンドでは、自分を落ち着かせるため「低め低め」などとつぶやく。ふだんは無意識につぶやくが、この日は、自分でも「すごいしゃべってんな」と気づくほど「声を大にしてました」と苦笑いする。

 楽天は4月1日の今季初登板で7回2失点(自責点0)で勝ち、連勝街道のスタートとなった相手。だが、ジョーンズが復調し、新戦力のボウカーも加わって前回とは違った。「打線全体で考えると怖い。でも1人1人と勝負できました」。両リーグトップの7勝を挙げ、防御率は0・82と驚異的な安定感をキープ。西は、憧れのエース金子の域へ着実に近づいている。

 19勝8敗と快進撃した4月から一転、5月は負け越しているチームにも西の粘投がカツを入れた。森脇監督は「素晴らしかった。先の見えにくい試合で主人公は西だった。成長したと思う。記録に並び、ここからがスタートと考えていい」と絶賛。若き右腕が、さらにチームを高みへ引き上げる。【高垣誠】

 ▼西が開幕から7連勝。昨年田中(楽天)が開幕24連勝したが3試合目の4月16日ソフトバンク戦は勝敗なし。登板試合にオール白星の「開幕7戦7勝」は09年田中以来で6人、7度目。オリックスでは、阪急時代の39年高橋以来、75年ぶりの球団タイ記録となった。09年田中は7勝時に3完封を含む5完投で防御率0・92。西の完投は2試合しかないが、防御率0・82は田中を上回っている。西は2失点が最多で、3失点以上なしで7戦7勝は39年高橋、58年金田(国鉄)西の3人だけだ。