<巨人3-10ヤクルト>◇14日◇ひたちなか

 ヤクルトが主砲の満塁弾で最下位から脱出した。ウラディミール・バレンティン外野手(29)が4回、3試合連続となる15号満塁本塁打で突き放した。両足に痛みを抱えるが、ダイエットでコンディションを維持しながら出場を続け、今季初の巨人戦勝ち越しに導いた。チームは15安打で10得点を奪い、チーム打率は12球団トップの2割8分4厘と好調だ。95年に優勝した時以来となる、ひたちなか(茨城)での勝利を、逆襲の起点としたいところだ。

 左から右へと吹いていた強風が、ぴたりとやんだ。4回2死満塁。ヤクルトのバレンティンが、巨人今村の内角低め直球を思い切りすくい上げた。打球は風の影響を受けず、左翼席までたどりついた。3試合連続となる15号は、昨季7月13日広島戦以来となる自身2本目の満塁弾。直前の1死一、三塁でセーフティースクイズを失敗した嫌なムードを振り払った。「良いタイミングで風が止まってくれた。ラッキーね。満塁弾は他の本塁打とは違う」と喜んだ。

 屈強な体を支える両足に不安を抱えている。持病の左アキレスけん痛と左かかと痛に、右内転筋にも張りがある。「打撃に影響はないよ」と言うが、小川監督は「体重が2キロは増えている。オーバーウエートって言ってやってよ。アキレスけんに負担がかかるから」と影響を心配していた。本人は「自分では増えたって感じはないんだけどね。たくさん減っちゃうとパワーにも影響が出ると思う」と話していたが、ダイエットの意識が芽生えてきたのは食事の席に見て取れた。

 8日の広島戦前。大好物のラーメンの隣に、山盛りのサラダが置かれていた。近藤通訳は「本人も気にしているようで、食事でも量を少し減らしたりしているみたいです」と説明。ベストの100キロ付近を維持するよう努めているという。

 その効果もあり、下半身に粘りが出てきた。「前の打席で直球に差し込まれていたのでポイントを少し前に修正した」と、三振に仕留められた反省を生かした。真中打撃コーチは「低めの球を我慢できている」と指摘する。意識を前に置いても体は崩されず、本来の美しい放物線が生み出された。

 主砲に引っ張られ、チームは15安打10得点でチーム打率も上がってきた。「みんなが努力して塁に出てくれるから。みんなのおかげだよ」と謙遜しつつ、「これをきっかけにもっと本塁打が出てくれればね。オネガイシマス!」と笑った。最下位からも脱出し、主砲に明るさが戻った。【浜本卓也】

 ▼バレンティンが今季初、13年7月13日広島戦以来通算2本目の満塁本塁打。これで11日のDeNA戦から3試合連続本塁打。今日自身4度目の4戦連発となると、ヤクルトではペタジーニ、ラミレスの3度を抜いて球団単独トップに立つ。

 ▼巨人の投手が満塁本塁打を浴びたのは、10年7月18日横浜戦でクルーンが逆転満塁サヨナラ弾をハーパーに打たれて以来4年ぶりのこと。昨年までの3年間で満塁被弾なしは巨人だけだった。