＜巨人２－７広島＞◇１６日◇東京ドーム

　もう不運では片付けられない。巨人先発の内海哲也投手（３２）が今季８試合目の登板も勝てず、勝ち星なしの４敗目を喫した。１回、広島打線に５安打を集中されて３失点。プレーボールから１０分で主導権を渡した。５、６回にソロ本塁打を打たれ、８回にも適時打で失点。試合の要所でことごとくつまずきＫＯされた。援護に恵まれない登板が続いていたが、首位カープには投球そのものが通用しなかった。

　取られ方がエースらしくなかった。１回は、代名詞のクロスファイアがベルト付近に集中した。ソロ２本も、不用意から生まれた。５回、菊池には初球のチェンジアップが抜けて、ど真ん中へ。６回は２死無走者で小窪に対して２ボールとし、カウントを取りにいった直球を、フルスイングされた。「初回がすべて。次、頑張ります」と元気なかった。

　タブーを犯さないから、安定した成績を残してきた。原監督は「コンディションが悪いわけではない。いいボールと悪いボールが、ハッキリしている」と見た。フォームの再現性が高く、精密なコントロールが生命線。好調時のブルペンでは狙ったポイントを絶対に外さない。特に１回、球持ちが悪くて軒並み浮いた直球は、ここ数年の内海からは考えがたい。技術を修正して打開するしか道はない。

　内海の復調なくして、チームの浮上もあり得ない。今季ワースト５連敗、広島と４・５差。じわりと差が広がっていく。原監督は「乗り越えるしかない。それが、我々の定め。勝負の世界だから。乗り越えなくてはね」と、長い監督生活で一番勝ってくれているエースに期待した。復調に時間がかかれば、チームにとっても取り返しのつかない事態になる。責任感が強い内海は分かっている。【宮下敬至】

　▼内海が６失点で敗戦投手となり、今季は８試合に先発して０勝４敗。内海の４連敗は１０年７～８月以来４度目のワーストタイ記録で、開幕４連敗は自身初めて。開幕から８試合白星なしも０９年の７試合（０勝３敗）を抜く自身ワースト記録だ。巨人で開幕から８試合先発して白星なしは、１２試合先発して０勝７敗に終わった０５年桑田以来。