<阪神1-3DeNA>◇16日◇甲子園

 ケン・ワタナベもシュン…。虎ファンに夢を見させた「85年再来打線」が急降下だ。4月にKOしたDeNA井納に封じ込められた。8回に代打今成のソロ、9回に2安打でマウンドから降ろすのが精いっぱい。6勝目を献上した。プライベートで甲子園を訪れ、4月の快進撃に上機嫌だった熱烈虎党の俳優渡辺謙(54)もガックリ肩を落とした。

 「ラストサムライ」もガックリだ。2点を追う9回、1死一、二塁と同点機を作り、ようやく井納を引きずり降ろした。新人三上に送り込んだのは、切り札関本。最高潮のムードは一転、遊ゴロ併殺打でため息に変わった。椅子にもたれたまま天を仰ぐ渡辺謙…。楽しみにしていた今季初観戦は1点に終わり「多くを語らず。また明日、ということで。すみません」と敗軍の将のようだった。

 ハリウッド俳優は、年に何度か甲子園観戦する。試合前は「久々の聖地巡礼。気合入れて来ました」と次々とナインを激励していた。米国にいてもインターネットで細かくチェックする。熱烈虎党にとって今年は、あの年を思い起こす期待感があるのだ。

 渡辺

 話題が豊富で、楽しい1カ月半を過ごせている。4月は85年かと思う月間だったね。久々に右の2枚(ゴメスとマートン)がそろって。和田監督が就任する時に理想の打線を聞いたら「85年かな」と言っていた。5点取られてもひっくり返す、派手さというかしぶとさ。最後まで食らいつく野球になっていた。

 そんな期待がしぼんでしまった。前回4月26日に黒星をつけた井納に淡々と抑えられた。4回までに7三振、低めの変化球に手を出してゴロの山を築いた。「ラストサムライ、グッドムービー。トムクルーズと出てたよね」と握手してきたゴメスも2三振と2飛球。渡辺の「また4月に戻ってほしいね」の希望も届かず打率は3割を切った。

 85年を連想させた4月は、まさに「猛虎打線」だった。チーム打率2割9分6厘で、1試合平均6・1点をたたき出していた。それが5月は打率2割2分3厘で平均2・1得点。1度も連勝できないまま4勝9敗と、止まってしまった。

 和田監督

 ちょっと遅かったな、反撃が。攻撃陣が前半に1点でも返していれば。今日は打つ方やな。5月に入ってずっと踏ん張りどころが続いている。とにかく離されないように、1試合1試合やっていく。

 首位広島とのゲーム差は再び4へ開いた。名作「沈まぬ太陽」のように、戦い続けられるのか。渡辺は今日17日も駆け付ける予定。今日こそ謙さんに、そして甲子園を埋める多くの虎党に六甲おろしを歌わせないと寂しい限りだ。【松本航】

 ◆渡辺謙(わたなべ・けん)1959年(昭34)10月21日、新潟県生まれ。87年NHK大河ドラマ「独眼竜政宗」の政宗役で人気に。89年、映画「天と地と」の撮影中に、急性骨髄性白血病で倒れて降板。翌年復帰し、5年後再発も克服。04年米映画「ラストサムライ」で米アカデミー賞助演男優賞にノミネート。05年女優南果歩と結婚。前夫人との長男大は俳優、長女杏はモデル、女優。184センチ、80キロ。血液型A。